◆ 上達にとって重要な知識は
上達にとって重要な活用知識は
- 構想とは何か
- 最善手と悪手に関する知識
- 対局意識に関する知識
に集約されます。
ただし、これらの知識が「ゲーム理論」によって体系的に整理され、論理的に構成されていることが必要です。 (自己の主観や思い込みのか価値は排除することが必要です)
ほとんど人(プロを含め)は、 この3つの知識が全く無く、強くなればなるほど、対局から得られる知識や経験が非常に少なくなり、その結果いくら努力しても上達ができなくなるのです。
それは、枯れた土壌に対局での経験の種を蒔いている状態であり、その種が育つことはありません。なぜなら、ほとんど人の思考は、その手が正しい手であるのか間違った手であるのかの「自己検証」ができない状況で打っているのです。
◆ 上達するとは、上達できない原因とは
勝つため、上達するためは、
- 最善手を見つける
- 悪手を打たなくなる
- 相手の悪手を咎める
この3つの条件を満たすことが必要になります。このためは当然ながら、
- 最善手とは何か
- 悪手とは何か
- 悪手を咎めるとは何か
という意味を知ることが必要なのですが、 ほとんど人(プロを含め)は、この意味を知らずに、対局しています。その勉強と対局実態は、
- この手はいい手
- この手が悪い手
- このように咎める
ということを実戦例の問題から覚える勉強をしているのです。
この結果が、単なる記憶だけで、その意味を考えずにロボットのようにパズル合わせしながら打っているため、上達できない自分を作りあげています。
◆ 上達の勉強
上達の勉強には3つの勉強が必要です。
- 悪手を打たない勉強
- 悪手を咎める勉強
- 最善手にする勉強
級の人が勉強しているのは(1)のみで。有段者の一部が(2)を知っています。
(3)については90%以上の人がその理論も正しい方法も知らないのです。
つまり上達できない原因として「概念間違い」は、(2)と(3)にあります。
◆ 碁の戦いの本質
戦うという効率目的について極めて重要なことをここで書いています。それは、
- 碁の戦いの本質は、生き残りゲームであり、地の大小なのです。
- 構想の本質は、「戦わずして勝つことであり、その準備の戦い」になるのです。
そして、勝負の争点のほとんどが、 「見合いの戦い」であり「絡み攻め」であり「中央の戦い」になるのです。
その手段としての、見合いの効率(損失の回避)として石の損得が、必然手となり連続手となることで、地の効率に影響を与えているという真理なのです。
◆ 自分で考える構築するのが碁
碁は知識で打つものはありません。
数多くのテクニックの知識は、強くなればなるほど、無意味で無駄な知識になり、上達を妨げる知識に変化するのです。
さらにこれらの不要な知識が、ミス手を打つ原因になるのです。
◆ 名人の定石なし
格言に
- 「名人に定石なし」
- 「定石を覚えて2目弱くなり」
という有名な言葉がありますが
「強くなればなるほど、テクニックの知識が上達の妨げになる」
というの追加すべきです。
テクニックの知識は、「相手が悪手を打った時にのみ、使える知識である」ため、強くなればなるほど不要であり、逆にその知識によって、自分から悪手を打つ原因になるのです。
↓ さらに詳しい内容は、下記に続きます。 ↓
◆ 理論、関連と体系の説明(全体のまとめ)
理論とは、勝つため、そして、強くなるための方法や法則の研究をいいます。 その明細項目には、下記のものがあり、それらの研究項目についての関係を、概論として学ぶことが理論体系の研究になります。
(1) 戦いの流れ(部分と全体)
- 自然確定と人為確定の(必然性と効率)
- 構想、戦略、戦術の違い
- 全局的な石の流れと部分的な戦いの必然性の研究
- 布石から終局にいたるまでの戦いの流れの研究
(2) 悪手と最善手
- 悪手と最善手の定義の研究
- 悪手になる理由、最善手の判定
- 悪手の判定方法(検証)と打たない研究
- 相手の悪手を咎める研究(勝つための研究)
- 自分から最善手への絞り込む研究(絞り込み)
(3) 効率全般に関する研究
- 全局的な効率に関する研究
- 部分的な効率に関する研究
- 中間的な効率
戦略、戦術が生まれる原因(法則) - 見合いと確定の研究
- 複数の戦いの関連に関する研究
(4) 効率テクニックに関する研究
- 捨て石、さばき、打診
- ヨセに関する研究
- 戦略や戦術に関する研究(打ち込みと分断)
- 石の連結と分断
(5) 構想に関する研究
- 自然確定と人為確定の(バランス効率と必然と)
- 構想と戦略、戦術の違いの研究
- 構想の効率に関する研究(打診)
- 定石と布石の研究
(6) 囲碁のゲーム特性の研究
- ゲーム特性に関する研究(確定)
- ゲームルールに関する研究(制約)
- ゲームルールとゲーム特性の関する研究
- ゲーム特性と効率(制約)に関する研究
(7) 確定に関する研究
- 確定とゲーム特性に関する法則
- 確定と勝敗に関する研究
(8) 形勢判断に関する研究
- 確定と確定阻止
- 簡易方法と精密方法
- 勝負手
◆ 理論を知ると、数多くの間違いがわかる。
(1) 最善手の概念
最善手についても、まったく意味を取り違えています。
- 問題1
- 実戦において最善手を打つことができるか
という問いに関する答えは、
- 解答1
- 最善手を打つことはできない。例外として、最善手を打てる場合がある。
そして、1手で打てる損失回避のために最善手は、打てて上達にも勝つことに作用しない。
- 問題2
- 最善手を追求する考え方は間違っているのか
- 解答2
- 間違っていない。正しいです。
- 問題3
- 解答1と解答2とは矛盾していないのか。
- 解答3
- 矛盾していない。これが、正しい「最善手」という手の意味であり、条件であり概念なのですが、
ここでの間違いは「最善手」の概念の間違いなのです。
つまり「最善手」には、単なる言葉遊びのものと、実戦で使える必須のものの2つがあるのです。
◆ 間違った概念が、あなたの上達を阻害している
これらの間違った知識(概念)は、 「形勢判断」「悪手」「構想」「理論」などの理解(定義)にもあります。
正しい知識として、絶対に知っていなければならないことを知らないことが、上達における「最大の阻害要因」になっています。
◆ 構想で勝負を決める手とは
勝負を決める手の多くは、中央の戦いと関連した「絡みの攻め」などの手であり、 石の「死活」や「攻め合い」できまることが多いのですが、構想の戦いとしては、最後に決める手は、石を取る手を目的にはしていません。
つまり、石を取り合う戦いで勝つことではなく、地を囲う戦いで勝つことが中心となります。
当然ながら、相手が守らなければなならい場所を手抜きした時には、それなりのかなりのダメージを与えることが必要ですが、そのダメージも、際どい戦いで石を取ることではないのです。
基本は、もう一手で確実に取れる状態に追い込み、相手に手入れさせ、先手で回ることであって、それでも手を抜いた時には、最終手段として、石を取り、勝ちましたということになるのです。
このためには、絶えず相手が手抜きをすれば、石を取る「死活」や「攻め合い」などが見合い状態で進行し、最終手段の「振り変わり」として相手の石を取って勝つことが、 構想に含まれています。
◆ 碁の勉強内容が、すべて変わる
碁の本質の理論的意味ががわかると、碁のすべてが変わることになります。
まず「戦う」「攻める」「守る」「捨てる」などの囲碁用語の意味、働き、目的が明確にわかるようになり、これらの言葉の意味が、これまでの本に書かれた意味と大きく違っていることに気づくことになります。
特に、最善手や悪手の定義も明確になり、その作用と活用に気づけようになります。
さらに、より重要な「対局意識」や「構想」の意味が正しく理解できることで、対局でのすべての手に影響することになります。対局の経験から得られる内容も大きく変わるようになります。
◆ 効率の論理
ゲーム特性からみた着手効率の優先関係は、
- 減算型の構築ゲームである。
加算型ではない。 - 手順進行で価値は減少する。
- 相手への確定度の大きい手を選ぶ。
小さい手は、緩手になる。 - 自分の確定度の小さい手を選ぶ。
大きい手は悪手になる。 - 相手の反発できない手を選ぶ。
- 相手へ反発できる手を選ぶ。
- 自由残存量の差を重視する。
(形勢が多い方の有利になる)
◆ 対局意思はなぜ重要か
上達において、対局意識がどうして重要なのか。
その理由は、対局意識によって対局することで、誰でもが「理論の本質の発見と体験」が、対局意識を通じた対局によって、自ら体験できるからである。
なぜなら、対局意識は囲碁理論の原点である囲碁のルールから生まれ、その法則によって構成された必然の意識だからです。
◆ 上達できない原因
碁に勝ち、対局によって上達する能力を育成するには、 構想による、目的達成能力の育成(経験からの知識と判断力)が必要ですが、そのためには、理論を根拠にした、
- 目的の明確な連続した構想
- 変化に対応した微調整
の知識と学習が必須条件になるのです。 「パターン図による記憶勉強」では、対局から経験値として自己蓄積できないのです。
◆ 読みが正確でも、構想力は自己育成できない
プロでタイトルが取れるような読みがあっても、
- ミスには、修正可能な許容範囲があり、この範囲を超えると、微細なミスであっても修正ができない。
- ミスの検証は、「記憶した図形」と「理論の制約法則」「読み」の3つの検証で行われるが、 「記憶した図形」は、検証スピードは速いが、「理論の制約法則」のような、より微細で関連した微細な検証ができない。
◆ プロの早碁練習は有効か
プロの早碁勉強は、構想という理論が明確である人にとっては有効であるが、上達目的からは、ほとんど効果がない。なぜなら、自他の構想力の違いを認識しているだけで、その原因は一切わかることはありませんし、同じミスを繰り返すことは防げません。
未熟な対局者にとっては、
- 有能な指導者の下で行う勉強方法である場合
プロにとっては
- 本番対局するための脳の準備意識運動
- ヨセでのミスを減らすための集中力の育成
としは、効果があるかもしれません。
ミスの改善には、理論という仮説を勉強し、その理論の組み合わせの評価検証しか方法がないのです。つまり、上達にとっての早碁練習は、無意味で無駄な勉強になるのです。
◆ 勝つための、勉強方法では強くなれない
勝負に勝つためには、初級、中級、上級になるにしたがって、効果的な勉強方法はありますが、これらは、上達の基本や根本となる知識ではありません。「入門者が、最低限打てるようになるための臨時知識」でしかないのです。
このため、これらの知識をいくら勉強しても、 「自分で考え構想し、対局する」ことはできません。
◆ 勝負に勝つには
勝負に勝つには、相手のミスを的確に咎める能力が100%必要です。 形勢が良ければ良いほど、また相手が強ければ強いほど、「勝負手という無理手」や「強引でミスを誘う打ち過ぎの手」を打ってくるからです。
囲碁理論での考え方は、このような無理手についてどのように対応すべきかの具体的記述はしていません。これらに関しては数多くの問題集や練習本もあるので勉強してください。
理論の本での勝つための勉強は、勝負手が打たれるまでの戦い方、考え方、価値観であるといえます。ただ、効率の論理としていえることは、
法則 無理手がいい手になる原因は、自分の対応ミスが原因である
ということです。