囲碁は、19路盤のどこにでも打てるという自由性の大きいゲームなのですが、勝つための特性は正反対で、数多くの制約があります。その代表的な特徴が、
- 自分から積極的にいい手が打てない
- 勝つための手ではなく、負けない手の選択
になることがあげられます。
1 可能性という持ち点が減っていくゲーム
自分からいい手が打てないゲームという意味には、可能性という持ち点が減っていき、それが残ったものが確定地の大きさとして競っている。ゲームといえます。つまり、対局開始時には、持ち点が100点あり、それを超えることはできません。この持ち点を、如何に保持できるかを工夫しこの工夫を勝負として競っているゲームといえます。
2 勝負に大きく影響する悪手と着手ミス
持ち点が、大きく変化するのは、
- 自分が悪手や着手ミスを打った時に自分の持ち点が大きく減る。
- 相手の悪手や着手を咎めた時に、相手の持ち点を大きく減らすことができ、場合によっては自分の持ち点が増える。
ゲームなのです。このため、
- 悪手とはどのような手なのか
- 着手ミスは、どのような場合打ってしまうのか
を知っておく必要があります。
3 着手における大きな制約。
このため負けないための着手には、大きな制約があり
自分からは
- 自分から悪手を打たない。
- 自分打った手が悪くならないように打つ。
- 相手の打った手がいい手にさせない。
- 相手の打った悪手を咎める。
この4つになります。
4 構想での大きな制約
全体構想や部分構想の選択においても、目的達成スピードの違から生じる大きな制約があります。これには。3つの基本法則があり、石は絶対に
- 法則1 取られない。
- 法則2 囲えない。
- 法則3 殺せない
があります。このため構想としては
公理 自分の構想達成より、相手への構想阻止が優先される。
ことになります。
5 3つの基本価値
囲碁の一手の価値には、一手打たれるごとに「確定性」「可能性」「危険性」の3つの値が同時に変化します。
- 確定性は、両者が、徐々に増加する。
- 可能性は、徐々に減少する。
- 危険性は、
その増加は、相手の「可能性」の増加と自分らの「可能性」の減少によって起こり、
その減少は、相手への「可能性」の減少と、自分の「可能性」の増加によって起こります。
6 悪手の定義と概念
これら3つの価値の増減から、悪手を定義すると、
- 自分の可能性を、減小させる手。(ダメをつめる)
- 相手の可能性を、減少を困難にする手。(生きやすくする)
- 自分の確定性を、増加させる手(囲う、生きる)
の3つになります。もう少し具体的にいうと、
- 相手の石を、生きさせる手(危険を減らす)
- 自分の石を、生き難くする手(危険を増やす)
- 自分から、生きようする手
- 自分から、地を囲うとする手
ここで注意すべきは、相手への可能性の減少を伴わない、自分の確定性を増加させる手は悪手になります。
7 可能性の増減は
可能性の価値は、石の取り取られという損失の質(危険性)の量に比例します。質は取られた場合の他への影響の大きさであり、量は勝敗の確定によって引きおこさえれる選択の制限を意味しています。
8 危険性の認識練習
囲碁の練習問題のほとんどが「死活」「攻め合い」「打ち込み」「切断」「連結」などの石を取る問題、石が取らないようになる問題の練習になります。この練習によって、自分の打った石が取られなくなり、相手の打ったミスを咎めることができるようになります。このことが、可能性という能力を大きくすることになります。
9 可能性の能力が大きくなると
石が取れる能力が高くなればなるほど、互いに相手の石が取れなくなり、戦いに結果が
- 生き生き
- 振り替わり
になります。つまり手戻し、手入れが必要な手順は基本的には未完成であり、高度な戦いになればなるほど、これら2つの動作が打てなくなります。
10 構想として着手目的
相手への可能性の減少、つまり次の狙いとしての制約が、碁の戦いにおいては、いつも意識されねばならず、次の狙いの有無によって。着手としての優先価値が大きく影響されたいます。そして、可能性の質として攻守を兼ねた手が優先され、その評価順序
- 攻めることによって守る
- 攻めることを重視した手
- 守ることで攻めを狙う手
- 守ることを重視した手
になります。このため、守りだけの手を避ける工夫が必要になります。
11 着手ミスが起こる原因
(1)複数の戦いが同時に進行する。
部分的な戦いは、その戦いの結果が確定する前に一時中断することがよくあります。そして中断した戦いが再開、今度は複数の戦いが関連して進行することになります。
このことによって、「絡み攻め」や「もたれ攻め」という戦いが生じます。