1 囲碁ってどんなゲーム
「相手が打てない大きな領域(確定地)を確保する」ゲーム
(1) 領域の変化
@ 始まり 黒白どちらの石も置ける、石が取られない領域である。
↓(未確定領域)
A 終了 片方のみが石が置けて、もう片方は置いても取られる領域になる。
(確定地)
(2)確定地の形成(領域の確定)
確定地とは、
- 空間を石で囲われ、
- 相手の石が、生きられない領域(確定地)
である。
2 勝つための条件
(1)勝つための着手目的には、4つあり
- 第一手段 相手の確定地を減らす。
- 第二手段 自分の地を確保する。
- 第三手段 相手の石を取って、盤上から取り除く。
- 第四手段 自分から取られないよう、生きる。
(2)形勢の変化
一手打つと、
- 相手の石を取る可能性が大きくなり、自分の石が取られる危険性は低下する。
- 相手の地の可能性は減少し、自分の地の可能性は保持される。
ことになります。
(3) 勝敗の条件(構想の自由性)
勝つためには、打てる場所(自由性。効率性、可能性)は、ゲームの開始当初から限定されています。手順進行との関係では
- 序盤ほど、可能性、効率性、自由性が大きく、自由に打てる場所が多い。
- 手順が進行し盤上に石が増えると、石が取られる危険性も大きくなり、地として保持できる場所も減り、自由に打てない場所が増えます。
勝負に勝つ確率は、相対的な構想の自由性の大きさで決定されます。
3 構想条件
(1) 目的達成スピードに効率差がある。
- 石を取るより、逃げるスピードが速い。(攻め合い)
- 石を殺すより、生きるスピードが速い。(死活)
- 地を囲うより、囲わせないスピードが速い。
(2) 最善手の定義と探索条件
盤上の変化は、未確定領域から確定領域へと進行する。また、最善手は、自分の構想目的を達成する探索から生まれるのではなく、相手の構想を阻止する探索から生まれ、相手の動きにあわせた『微調整』が耐えず必要になる。
(3)構想の第一条件
- 相手の地の可能性を減らす。
- 打った石は取られないようにする。
この2つの相反する行為である。このため調整することが必要になる。また、
(4)自分の地を確保する行為とは
相手の石を
- 生ききられない領域に制限する
- 生ききられない領域に確定させる
このことによって、自分が有利な地になる「確保の争い」を行っている。
4 戦いの効率
(1)石が取られると、不利になる。
- 確定地にならない。
- 確定地が減る。
(2)石が取れる条件
石が取れる場合は、2つあって
- 生きることができない。(眼が2つ作れない)
- 攻めあいに負ける。 (先に、手数がゼロになる)
攻め合いとは、互いにダメを詰める争いで、相手より先に手数をゼロにすると石が取れる。
(3)戦いと構想
3子以上の石は、取れば有利になるので、取られないように打つため取れません。
つまり、相手の石を取るという構想や戦略は成立しないため、直接石を取るのではなく、石を取る代償として地の増減が生まれるゲーム構造になっています。
5 攻守の基本動作
構想の基本動作は、攻守の基本動作として「2手以上連続して攻めることができる」かどうかの条件によって立てられています。
(1) 攻める動作とは
- 生き難くさせる。
- 地の可能性をへらす。
(2)守る動作とは
- 攻められないよう、生きる。
- 地の可能性を保持する。
となります。
6 制約するという効率
相手の構想を阻止するという制約は、勝つための確率的な判断となります。また勝率においては、着手ミスをいかに咎めるかが問題となります。制約すると咎めるという手には多くの共通性があり、咎める一般的な手段と類似しています。
例えば、
- 眼形を奪う…… 欠け目にする。中手にする。
- 重くする。……. 逃げさせる。生なければならない状態にする。
などによって、石が取れる確定性、必然性を高めることで、ミスの少ない手、またミスを咎める手になります。
7 補正できないミスの発生確率
(1)構想ミスによる失敗
高段者になると、勝負を決するミスの多くが、「構想ミスが中心になる」ことになることになります。構想ミスが生まれるのは、2つ以上の戦いが同時に起こり、その結果、最善手としての微調整が困難になり、2つの石を同時に適正に守ることが出来ない状態になるからです。
(2)構想ミスの咎め方
構想ミスによって、「見合い条件」や「絡み攻め」「もたれ攻め」などの咎める手が生まれることになります。このため『2手連続して打てない制約』が発生することになり、微調整による修正の許容範囲を超えた確定ミスとなり、「大石が取られる」「確定地であったものがなくなる」など、勝負に重大な影響を与える結果になります。
8 基本の読みと評価
(1)読みきりの不可のミス確率
着手の決定では、読みきりが出来る場合と出来ない場合があり、その多くは読み切りができない状態において選択されています。読みきりができない状態ほど、着手ミスの危険があり、着手ミスを減らす読みが重要になります。
(2) 石が取れないという法則
「石を取る」「殺す」という戦略や戦術は、実戦においては相手のミスでない限り不可能な構想になります。このため、「相手が手を抜いた場合に取れる」という相手のミスを想定した読みによって、「制約する」という手が生まれ、これが構想での効率において重要な意味を持つことになります。
(3) 2手連続して打つとどうなるかという評価。
正しい評価は、確定しないと評価そのものができません。このため、多くの着手は評価不可能になっています。このため、確定状態まで何手必要かが問題となり、多くの場合には、2手連続して打てた評価が基準になります。これは、2手連続して打たれると効率が一気に上がるため、「打たせない」手順が優先されるためです。
(4)石を取る場合の制約条件。
相手の石を取る場合でも、取ると100%有利であるかという、「攻め取り」になると利き筋が増えることから、「攻め取り」にならないという条件を考慮する必要が生まれます。
(5)未確定な状態での選択
未確定な状況での選択では、「先手後手の判断」など、相手が手を抜くとどうなるかを前提にした考察や検証が読みの基本になっています。つまり『2手連続して打った場合の評価』が前提になります。なぜなら、石は取れない、殺せないことからです。
9 取る効率と囲う効率の選択になる。
着手の選択は、「相手の石を取る効率」と「地を囲う効率」との効率比較によって行われますが、通常は「石を取る」という構想は成立しないため、「手抜きで石を取られる損失」と「受けることで相手に与える地の損失」の比較で着手の選択が行われています。
10 石数が大きいほど地の増加が大きい
石数が大きいほど、その周囲に利き筋が多くなることから、確定地の増加も大きくなることになります。つまり、攻め取りと同じ効果があります。また、「連続して打たれると効率」が一気に上がることになります。