囲碁理論の入門
第1章 取られない基礎能力
【1】 囲碁での棋力と勉強
囲碁でのゲームとしての本質は、
- 大きな地が囲えないこと
が基本特性であり、このために、「地を囲うという効率を競う」ゲームになっています。
大きな地が囲えない理由として
- 打った石すべては、取られる危険があること
- 石が取られると、地にならない
などが原因しています。
【2】 失敗すると負ける。
囲碁では、どこでも自由に打てるがゆえに、数多くの失敗が生まれます。失敗には3つのパターンがあります。
- 大きく地を囲うとして、石が取られる。
- 用心し過ぎて、小さい地しかできない。
失敗すると相手から咎められ、勝負に負けることになりますが、
- 相手がミスをしたのに、咎める手が打てない。
ことも、失敗になります。失敗を咎める手段も数多くあり、もっとも効率のよい手段が、相手の石を取るという手になります。
失敗の原因としては、
- 最善手として工夫していない。
- 取られる用心をしていない。
- 囲うための条件が整っていないのに、「地を囲おうとする」
【3】 効率のよい手は自由に打てない
どこにでも打てる着手の自由性は、効率のいい手が自由に打てるのではなく、効率悪い手が自由に打てるという意味になります。このため、「地を直接囲うとする手は、効率が悪く、勝ち為には打てない」手になるのです。
大きな地を囲うとして、効率よく地を囲うためには、囲うための条件が整っていることが必要です。このため、「囲うための石が取られ地が囲えない。」また、「相手から邪魔されて、地が囲えない」という失敗が数多く生まれることになります。
【4】弱い人と強い人の違い
強くなればなるほど、失敗をしても石が取られる確率はゼロ近くになり、弱い人ほど「用心しても、簡単に石が取られる」ゲームであるいといえます。
弱い人の石は、手を抜くとすぐに石が取られる『重い形』が多く、強い人の石は手を抜いても取られない『軽い形』になっています。
強い人の打つ手は、「相手を攻めながら守る手」が多いことから。打った石の背後の空間が広くなり、攻めを失敗しても、守りを失敗しても、それを修正できる可能性が多く残っていることになります。弱い人は、守る手のみを意識して打っているため、このミスを修正できる空間、つまり可能性の少ない状態になっているのです。
(1) 弱い人のミスと傾向
弱い人の傾向は、
- 手を抜くと石が取られるのに、守らない。(A)必要かどうかの判断ができない
- 生きられるのに、生きる手を間違えて取られる。(B)正しい手順が打てない
- 守る必要がないのに、さらに守る手を打つ。(C)一手パスの不要な手を打つ
また逆にいえば
- 取れない石なのに、取れると思っている。(A)
- 相手の石が取れるに、取る手が解からない。(B)
- 取れているのに、さらに用心して手入れする(C)
になります。このため、手抜きしたら石が取られるかどうかか、手抜きしても石が取られないかという判断能力が、次の手を決定する基本条件になります。
(2) 強い人の傾向
強い人ほど
- 失敗しても石が取られることがなく自由に打てる。
- 相手の失敗を咎めることで、大きな地を囲うことができる。
ことになります。 強い人の石が取れないのは、「用心さえすれば、自分の失敗から石が取れることは絶対にない。」という法則があるからです。
強くなればなるほど、失敗をしても石が取られる確率はゼロ近くになり、弱い人ほど「用心しても、簡単に石が取られる」ゲームであるといえます。
【5】構想のための基礎能力
囲碁において、構想を立てる上で必要な基本知識は、「相手に地を囲わせないこと」と技術は「自分の石が、取られないこと」の2つになります。
(1)強くなるための基礎練習
強くなるための基礎練習は、
- 自分の石が取られないための練習をしている。
- 相手がミスをした時の、咎める練習である。
- 攻める手(手抜きできない状態)を学んでいる。
この3つになり、石を取る練習は石を取る能力を身につけることが、目的ではなく
- 相手の石を取る練習は、自分の石が取れない
- 地を囲う練習は、相手に地を囲わせない
ために練習していることになります。その理由は、石が取られるのは、相手がミスをした場合だけであって、「相手がミスしてない石は、絶対に取ることはできない」という法則があるからです。
石が取られるような大きなミスをしなくなって、初めて「自分から、効率のよい大きな地を囲うことができる」ようになります。