語録
- 法を知らずして打つ碁は、地理を知らずして道を行くが如く、
碁の碁たるに於いて、些の価値無きものとす。
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囲碁の理論を知らないで打つ碁は、地理を知るないで道を進んで行くようなものである。それは、碁の本質を究めるということからみれば、全くの価値の無いものである。
- 沈着にして遠慮あり、目的正大にて、少しも奇勝を期せず、奇敗を招かざる、是れ之を碁の正道とす。
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碁を打つときは、心が冷静であり控えめで相手を尊敬する気持ちが大切であり、目的は正当性があり、少しも偶然の勝ちを期待せず、またミスを招かない。これが碁の正道である。
- 損得はまずは互角をよしとせよ。損だにせずば敗くることなし。
- 損得の考え方においては、相場、つまり白黒の相互利益が互角であるいうことが基本となる。自分だけの損をしなければ、負けることはない。
- 碁は洵に変化極まり無し、到底形に因りて其の奥を盡す可きに非ず。必ずや意を以って悟入し、臨機応変の工夫あるを要す。
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碁では、その変化に限りというものがない。定石がこうだからといった形に制約されるのではない。その局面での最善の目的に対して、臨機応変に工夫することが大切である。
- 学習する所無く、単に天禀の技能を以って打つ者は、局部の勝を制するに巧なるも、大勢に於いて負けとなること多し。
- 人の打った碁を研究せず、単に自分の感性や今までの知識で碁を打つものは、部分的な優勢を得ても、全局的に後れをとって負けることが多い。
- 囲碁の道は全然敵をして得る所無からしめ、又は敵を殱滅して以って、我獨自一已の天下と為すを期するに非ず。
- 囲碁の道では、全く敵には利益をえないようにし、または敵を徹底的に壊滅しよいとして、自分一人の天下を得ようとしてはいけない。
- 敵も活き我も活き、敵も得我も得るの間ありてれ唯我の一著の先を取り、以って優者たらんことを期するにあり。
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敵も活き、自分も活き、敵も自分も利益を得るのであるが、自分の方がほんの少しだけ先に得をするというのが、優れた打ち手の目標とするところである。
- 平和の争いなるは、数子の勝敗となり、戦闘の争いなるは中押の勝敗となるを常とす、然れども戦闘の間に平和の意を存し、平和の中に戦闘の心を含むも亦常なり。
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静かな戦いの碁は、僅かな差の勝敗となり、激しい戦いの碁は、大きな差の勝敗となるのが普通であるが、しかし、激しい戦闘においても平和の心が基本であり、平和な戦においても戦闘的な気合いが必要である。
- 奇正離合常ありて而して常なく、変ありて而して変なき、之を碁の妙とす。
- 俗手と本手の組み合わで、絶えず変化が生まれ、相手がその変化を避けようとさらに変化しても避けることできない。これが妙手である。
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