この図は、理想的な構想を求めて、
理論体系が生まれた「思考過程図」です。

◆ まえがき

10年前に囲碁のゲーム理論をまとめた「碁の方程式」という小冊子を出しました。それがさらに発展し,この一冊の本になりました。対局ソフトに「人間のような手を打たせる」という目標をたて、基本的なゲーム理論の考察を行なっていく過程で、その中心課題が「着手の必然性」であることに絞られてきました。そして、この必然性の生まれる原因が、空間の減少にあることも徐々に判明してきました。さらに必然的な着手は、手順の進行とともに、「制約条件」→「全局的流れ」→「必然手」→「先手」へと変化し発展していくこともわかってきたのです。

このことによって、「対局ソフト」での人間らしさの欠如という問題は、部分的な戦いのアルゴリズムではなく、全局的な価値や流れのアルゴリズムにあることがわかってきました。また着手の効率は、死活に関係した「生きるスピード」が特に重要であることもわかり始めています。

この本の巻末には、プログラムを作成する上で、必要不可欠な仮説が数多く記載されています。囲碁理論の基礎資料として活用していただければと考えています。また、この本を通じて、コンピューターの思考方法や選択の判断基準がどのような思考過程によって、評価しようとしているかをお伝えできればと思います。