初段から5段になるために

棋力が初段以上になると、単なる知識の積み上げだけでは、強くなれません。その理由は

@ 正しい手かどうかの判定は、悪手を咎める力にあるからです。

低段や級での戦いでは、単純なミスなため「一手で勝負が決まる」ことが多いのですが、高段の戦いになると、勝負が決まるまでの手順が長くなり、分岐も多くなります。さらに見合い条件による関連した戦いが多く、「読みのミス」も多くなります。

(対策)

このような、「難解な戦い」では、序盤の構想から、棋理の効率を満たした互角ではあり「負けない手」、「ミスの少ない手」「悪手にならない手」を、意識して打つ必要があります。この経験によって、深い読みが育成され、相手の構想を無理なく制約することが可能になります。

この「高段の戦いの特性」を知り、低段の段階から、意識して打つ訓練が大切になります。

(形勢判断の指標) 

形勢判断でも、低段と高段には大きな違いがあります。低段の人ほど、「確定地の大きさを重視する」傾向があり、高段になるほど、「戦いの可能性」を重視した形勢判断を行っています。

「戦いの可能性」を重視とは、今後の戦いの起こる場所や「ヨセでの先手後手」を意識した手を優先しています。

「戦いの可能性」を重視した構想の特徴は、

  1. 次の狙いのない構想は避ける(嫌う)
  2. 手抜きを前提(後手)として、構想する。
  3. 「見合い条件」や「利き筋の有無」を意識する。
  4. 「相手を攻める」戦略ではなく、「相手から攻めさせる」戦いを想定する。(打診と様子見が多くなる)
  5. 基本の読み筋は、守りのさばき中心になります。
  6. 次の狙いのある形が重視されます。
  7. 攻めの反発のタイミングが非常に難しくなります。
  8. 見合い条件や利き筋が多く残った戦い
  9. 捨て石の多い戦い。

などがあり、味の悪い構想を避ける戦いになります。

また「構想の戦い」では、戦いが始まる準備に重点が置かれることから、布石や序盤で「本手や定石」に見える穏やか手であっても、中盤以降、構想が確定するにつれて、必然の手が連続し関連することから、先手が多くなり、確定スピードが一気に上昇します。

構想目的が、未来での戦いの対応力、反発力が重視されることから、「全局的な構想」のための「部分な戦略選択」が優先され、構想での部分確定目的が明確になされています。

(A)AIからの考察

  1.  AIは、蓄積データ(棋譜)から、何が学ぶのか。
  2.  AIは、どのよう方法で、強くなったのか。
    そのアルゴリズムとは
    1. 間違いデータの排除は
    2. 有効データの活用とは
  3. 自己学習機能によって、本当に正しい囲碁理論を見つけられるか?

(B)AIと人間の上達方法の違いの考察

  1. AIの「画像認識」学習は、
    人間の「図形記憶」と「直感」と関係性があるのか
    子供でも、プロになれる基礎力や記憶力との類似性

(c)アマ初段から上達を困難にする原因

アマの「上達の阻害原因」はどのような事があり、その阻害原因の排除や改善できる、上達方法はあるのか。

B 間違った経験(記憶)の原因

ミス手や悪手を咎めることができない失敗体験が、悪手をいい手と錯覚させる。

<改善方法>
  1. 悪手を咎める能力(知識)育成
  2. 間違った構想と対局経験を排除する
    悪手や、無理手を打つ悪い癖。
    達成できない無理筋の構想を止める

が必要になります。

さらに、

  1. 碁の基本となる法則の知識
  2. 上達できる対局意識を獲得する
  3. 自分から一人で構想ミスをを発見する

こららの能力獲得のために、囲碁の着手効率論を学ぶ必要があります。

◇ 囲碁ゲームの着手効率論

構想に影響する、効率の基本概念とは、

(A)構想の基本となる評価値の概念

確定性、可能性、危険性、関連性、効率性

  1. 悪手、最善手の定義を知る。
    確定性と可能性
  2. 着手進行によって、変化する評価値を知る
    確定性の増加、可能性の低下、危険性の増加
    危険性回避のための見合い効率

(B)効率差が生まれる「関連性の法則」

損失回避と可能性の低下による確定性の増加
確定性の増加による、必然性と連続性の誕生
部分的な確定が大きくなると、必然が生まれる。

  1. 勝敗確定の法則。
    確定性と可能性
  2. 構想力の理解。
    (連続性、必然性、見合い効率、阻止効率)
  3. 構想における必然の「連続性と変化」

◇ 「構想の戦い」での基本法則(知識)

本での勉強のほとんどは、相手のミスを咎める練習でしかないため、理想の構想を達成するには、制約法則を学ぶ必要がある。法則として成立しない手を、対局で意識して打っても上達することはない。

囲碁がどのようなゲームであるかの認識によって「対局意識が変わる」、その変化が上達に大きく影響する。