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上達するための才能と必須条件
囲碁学習と上達過程の特徴(自己評価の利点)

まえがき

囲碁の勉強では、死活、定石、手筋などの本を読むことが一般的ですが、上達スピードからいうと、あまり効率のいい勉強方法ではありません。なぜなら、勉強の最終目的が、「対局で勝つ」だからです。このための重要で最短の勉強課題は、「対局意識」であり「悪手」「最善手」の意味を知ることだからです。仏教の教えで例えるなら、「悟りとは何か」「人生とは何か」、キリスト教なら「愛とは何か」という重要テーマを勉強しますが、その最終目的は、自分の人生のためにためになる生き方として、「自分が生きる目的」想定し、「自分の人生プランを立る」ことになります。囲碁なら「対局意識」「悪手」「最善手」を知ることで、対局において自分の現在棋力や目標にチャレンジしながら、碁の本質への気づきとしての、もっと効率のいい手を探求し、対局での失敗を通じて、自分の考え方を修正して成長する。これがベストの勉強方法であるといえます。

◇ 囲碁ってどのようなゲーム

「囲碁ってどのようなゲームなのか」対局を通じて理解し体験できることが、最良の勉強方法なのですが、残念ながら入門者や初級者に「これが囲碁のゲームとして本質です」と教えても、「なるほどそうか」と感動し関心を持たれる人は、ほとんどいません。

例えば、法律の勉強でも、必須の学科は、「法律概論」や「憲法」などですが、これを理解するには「自由、平等、博愛」という基本概念や協調、共同、欲望、本能、罪と罰という哲学概念、宗教学などの価値観、人生観をその準備知識として学ぶ必要があります。

囲碁においても、「囲碁ってどんなゲームであるか」また「どうして対局意識が重要であるか」を知るには、過去の名人の打った「棋譜」「定石」、「布石」、「死活」、「詰碁」などの手順を覚え、その手の意味を知り考えるという基礎勉強が必要になります。

これらの知識の一部は、自分の対局でも役立つことが多く、特に級位者の勉強としては有効であるといえます。しかし、有段者になって、さらにこれらの勉強を必死にしても「囲碁とはどのようなゲーム」であるかの最終テーマの答えに自分で気付き、到達することは至難の業といえます。

なぜなら、この囲碁での「布石」「定石」「手筋」「嵌め手」など数多くジャンルの勉強は、自分から失敗しないように対局で打つための(道具)でしかなく、また失敗した相手の手を咎める知識でしかにのです。このような「知識の知識をどれだけ数多く手に入れても、『囲碁がどのようなゲーム』であるのか本質に「気づく」または(悟る)ことができないからです。つまり、従来の勉強方法は、低段なら努力次第で可能なのですが、高段になるには、非常に効率が悪く、無駄の多い勉強方法といえるのです。
専門書の中には、数多くの役立つ情報もあるのですが、「対局での心構え」「正しい対局意識」を体系的に書かれた本はなく、そこに書かれているる参考図の多くは、相手のミスや悪手を咎める例外情報であるからです。

このため、この例外情報を覚え知ったために、かえって不安と希望で交錯し、「囲碁ってこんなゲーム」であると間違った「囲碁観」が生まれ、このことが囲碁上達の障害になっている場合が非常に数多くあります。

囲碁上達のおいては、下記の特徴があります。

特徴1 自分で自己評価と検討が可能になる。

自分の棋力が上がる過程で
@囲碁理論への理解が深まり、同時にA対局経験が深まることで、対局後や対局中でも、B 今後自分が学ぶべき「欠点や長所」つまり必須の情報や知識(参考書での確認できること)が、自分一人でも、新たな上達情報として気付くことになります。

つまり、論理的な正誤判定、着手評価を自己分析できるようになり、上達スピードが格段の上がることになります。

そして、自分の打った手について、@自分の考え方の間違い、⓶着手評価の再検討(悪手や良手の判断)がB自分一人で行えるようになります。

特徴2 対局意識と着手理論

対局後の、正誤の自己分析の鍵になる知識が、対局意識にに関する知識と、囲碁理論の知識になります。この2つの指標によって自己分析が可能になります。

つまり、本質的棋力差の原点は、対局意識の間違いや囲碁理論の欠如から生まれています。このことから、数多くの着手ミスが生まれることになります。

特徴3 負けるという恐怖感と勝ちたい過剰期待観
     これが同じミスを繰り返す、上達の阻害要因

対局中は、取られると負けるという恐怖感から、弱い人ほど、緩手や悪手を打つことが多くなります。また相手が自分より意識するほど、この感情は、大きくなります。

また安全に勝ちたい、勝ちきりたいという思いから、緩手や打ち過ぎで危険な着手であっても、いい手であると勘違いし、気づくことができなません。つまり、未来がわからない、読めないという不安と期待によって悪手や緩手ばかり選択する癖がつくようになります。この癖と間違った囲碁観によって、同じミス繰り返すようになります。

◇ 欠点…ストレス過多と上達阻害

勝負にこだわるのいいのですが、こだわり過ぎると、かえった部分戦術や戦略思考に偏り、負けることが多くなります。囲碁の戦いの本当の本質は「構想の戦い」であるため、「構想の戦い」についてしっかり理解する必要があります。

◇ 手筋や死活の知識

上達過程において、テクニック手筋や死活、ヨセの知識は必要ですが、それらは上達のための道具であって、本当の棋力において必要な情報は、対局意識であり、囲碁格言や、囲碁十傑などの知識とその理解になります。