囲碁理論の入門講座

ゲームの特性(2)

1 着手効率の解明

勝敗は、「確定地」の大きさを競っており、そのため、着手効率は、「確定地」の増減の大きさを評価しているといえる。

(1) 確定性

  • 定義….確定とは、変化しないことの価値である。
  • 特性…序盤はゼロであり100%へと増加する。
  • 種類…「生きの確定」、「地の確定」の2つがある。
    • 生きの確定…とられる石が、取られない石になること
    • 地の確定……未確定地が確定地に変わること

    2つ関係は、地の確定は、「生きの確定」が必要条件になるため、生きの確定が優先される。
    勝負の影響…地の確定の増大を目的にしている。

@ 地の確定条件

地の確定とは、空点が確定地になることである。地の確定は、「生きの確定」を前提にしているため、生きられなくなって死ぬと、「地の崩壊」が起こり相手の地になる。発生原因は「攻め合い」、「死活」になどでの着手ミスである。

A 生きの確定条件

生きの確定とは、打たれた石が取られない状態になることである。生きるには二眼必要であるが、一眼とは6目以下の確定地のことであり、これが2つ必要になる。

B 地の確定と生きの確定の関係

  • 定理1 7目以上の確定地では、生きの確定も同時に起こる。
  • 定理2 板六の6の確定地は、生きの確定も同時に起こる。
  • 定理3 曲がり4目の確定地は、生きの確定も同時に起こる。

地の確定が3から6目以下の場合は、死活問題が生じる。

B 領域の関係

「生きの確定」と「地の確定」とは領域の関係は、反比例の関係にあって、「生きの領域」が増えると「地の領域」が減る。

C 効率と評価

生きの石数を少なくすることが、地の増加になり、逆に相手の生きの石数を増やすことが、地の制限になる。

2 確定性と9つの特性

確定性と9つの特性の関係は、確定性の増減は、必然性、可能性、危険性、関連性、安定性、効率性。連続性の8つから大きな影響をうけている。

【可能性】

可能性とは、未確定な領域と勢力地の大きさ(領域)であり、確定性に最も影響する最大原因になっている。

【危険性】

危険性とは、確定の増大を阻止する要因あり、そのテンポを遅らせる作用がある、危険性の増大は、関連性からの影響と着手ミスの発生から生まれる。

【関連性】

関連性とは、複数の戦いが同時に進行することで、危機性に影響し、確定性に影響する価値である。実際には「絡み攻め」「天元の戦い」がある。
関連性と関係する価値には、必然性、連続性、安定性があり

  1. 必然性とは、危険性の回避によって起こる。
  2. 連続性とは、必然性が続いて起こる状態価値。
  3. 安定性とは、必然性が一時停止する見合い状態の価値。

と定義できる。このため、これらの価値は、関連性の一部分として分類することもできる。自由性と効率性の2つは、ゲームの平等な権利や特性であるので、ここでは効率条件とみなし、除外する。

着手効率の解明

命題1 勝敗ルール

勝敗は、「確定地」の大きさを競っており、そのため、着手効率は、「確定地」の増減の大きさを評価しているといえる。

命題2 終局状態

終局段階をみると、盤上には「確定地」と「完全に生きた石」のの2つが存在している状態になっている。

命題3 対局開始状態からの変遷(中間過程)

対局開始時には、361の空点であり、この空点が「確定地」と「完全に生きた石になる」が、その途中において、中間過程、つまり「完全に生きていない状態」と、勢力地の状態が生まれる。

命題4 確定地の条件

確定地として確定する条件は、その周囲に石が「完全に生きた」石であることによって、確定地として確定する。このため。「生きた状態になることが」前提条件になっている。

命題5 逆進による確定

盤上の石は、「確定地になる」または「生きた石になる」という確定の方向性で進行していくが、着手ミスや捨石の戦術として、「生きられない」状態になることによって「生きの崩壊」が生まれ、盤上から取り除かれる。このことによって、存在できなることが起こる。つまり、「生きる」「確定地」になる方向とは反対方向の特別ルールがある。

命題6 確定地になる方向は、変化しない

石が取られた状態は、確定地の所有者の変更であって、確定地になる方向が停止しまた逆進行したのではない。生きられなくなることで、「生きられない確定」によって「生きた確定」が進行したことになる。

命題7 確定の方向は、一方向である。

「生きの確定」と「確定地」の方向は。黒白に分かれたものとして、存在している。つまり、自分の「石が生きる」「確定地になる」と相手の「石が生きる」「確定地になる」4つの形態によって、方向性はいつも保たれて手順は進行する。

命題8 循環こうの無勝負の規定。

確定の方向を阻害する唯一のルールは循環コウ(3コウ、長く生きる)である。これは無勝負とされ、戦いは終局となる。

命題9 確定のゲームである。

確定事象としては、「生きの確定」と「死の確定」があり、死の確定が確定地の発生になる。死の確定とは、生きられないことの決定を意味する。

結論

囲碁というゲームは、「生きの確定領域」または、「死の確定領域」の大きさを競うゲームであり、「死活領域」を争っている。

この結果、部分的な効率は、「生きるための必要な手数の効率」とそれに伴って生まれる「死の確定領域」の確定するのに必要な効率になる。そして。基礎力としては、「生きる力」、「生きさせない力」であり、基本となるのは「自分が生きやすくなる」、「相手を生き難くする」ことの比較が一手で生じる着手効率になる。