囲碁理論の入門講座

碁の方程式 すすめ(3)

え…着手効率と着手価値の違いがあるのですか。

命題3 囲碁での「価値」と「効率」との違いは何ですか。

【答え】 着手価値は、盤上に石を置くことよって、3つの価値が変化する事象のことです。着手効率とは、2手連続した手や、見合いの関連性などによって、その価値が大きく変化する事象いいます。

【解説】
着手効率には、見合いの効率、連続の効率、制約の効率。からみの効率、天元の効率などがあり、どれも2手連続して打てるか、見合い、複数同時の戦いによって生まれています。

  1. 見合いの効率…生きの見合い、攻めの見合い、両あたりなど、一手で2つ同価値が生まれる効率をいいます。
  2. 連続の効率… 先手や連続手によって、二手続けて打てることで効率が大きく変化することをいいます。
  3. 制約の効率… 地の制約、生きの制約によって、先手が生まれやすくなる効率をいいます。
  4. 絡み攻めの効率…これは2つ以上複数に戦いが、一点で起こることが原因になります。(天元の効率も同じです)
  5. 読み切りの効率……読みきりで、生きた状態、取った状態になると確定度が100%でもっとも安全な状態になります。

1 いい手という手は、悪手でない手のこと

 「いい手ですね」と言われると、「最善手」であるかのように思ってしまいますが、最善手という手は、「読みきりの状態」や「耳垢の一手」など。一石三鳥のような場合しか生まれません。このため、一般的に「いい手ですね」と言う手は、「悪手でない。普通の手です」という意味になります。

2 級位者は悪手が多い

級位者は悪手が多く、高段者になると、徐々に悪手を打たなくなるゲームであるといえます。そして、自分から悪手を打たなくなることで、相手の悪手を咎めるチャンスが多くすることができ、これが棋力になります。

3 一手で生まれる最善手はない。

検証力のないアマが、最善手を見つけようとすればするほど、かえって悪い癖がつくことになります、その理由は、一手で生まれる価値がないことにあります。つまり、効率という価値には、連続した手による関連性によって生まれるからです。

3 形を崩すことが、咎める手になる。

着手効率の意味が解かると、囲碁の勉強そのものが、180度変わります。相手の打ちすぎを咎める動作も、形を崩すという意味であり、形について強く意識して打つようになります。このことによって、「制約という効率」に気づくようになり、対局における意識も一変し、捨石が多くなり、味が悪い手を避けるようになります。

「守ってから攻める」のはダメな意識ですよ。

命題4 着手効率として「攻めながら守る」のと、「守ってから攻める」どちらが正しい考え方でしょうか。

【答え】「攻めながら守る」意識が、正しい効率の考え方になります。

【解説】
囲碁の効率では、「守ってから攻める」という考え方は存在しません。
その理由は、「守ると攻められなくなる」からです。守る場合には、「相手が手抜きした場合に、次のねらいが必要である。」この考え方なら、正しい考え方なのですが、これと混同している人が数多くいます。

「攻める」「守る」「戦う」「構想する」という考え方も、まったく間違った認識で対局している人が数多くいます。このことが、囲碁の上達を阻害するだけでなく、悪い癖を作る最大要因になっています。

  1. 攻める… 相手に手抜きさせない意識であって、攻めることでよい結果が得られるのではありません。次の狙いを意識することで、構想ミスを減らすことになります。
  2. 守る… 通常は、「攻めながら守る」手になるため、攻める狙いがない場合には、「捨てる」「手を抜く」が優先されます。
  3. 戦う… 自分の弱い場所を補強するために行っています。相手の弱い石にはつけるな。自分の弱い石は作らない。これが戦いの基本になります。
  4. 構想する…自分の理想を作るのではなく、相手の理想を阻止する構想が優先されます。

1 「戦い」の意味がわからないと、序盤で勝負が終る。

強くなってくると、中盤より、序盤から布石の重要性に気づくようになります。なぜなら、ほとんど対局は置碁を含め、およそ50手ほどで勝負がついるとに気づけるからです。つまり50手以降は、形勢が良い方は、勝ちきりの練習を行い、悪い方は、逆転のために、最善の無理手を模索していることになります。

2 序盤での優位性は、効率という理論力の差になる。

部分的な戦いで、有利に立つことはできないため、有利な状況を作るチャンスは序盤から中盤でしかありません。このことに気づくと、構想という読みの怖さと戦いにおけるバランスとは何か、どうして重要なのかがわかるようになります。

3 中盤以降の逆転は、相手のミスしかない。

中盤から逆転できるのは、相手のミスしか逆転できません。ミスには、構想ミス、手順ミス、検証ミスがあり、この相手のミスを咎めることで逆転できることになります。