囲碁理論の入門講座

囲碁理論を学ぶ

入門とガイダンス(8) 戦いの領域の変遷

1 連続性の効果

(1)着手効率の原点

着手効率は、

  1. 効率差は、連続手による地の生成でしかない。
  2. 攻める手は、連続した攻撃の手段である。
  3. 連続した手には必然性が必須となる

着手効率の法則としては、

公理 着手効率は、2手以上連続して打てないと生まれない。

つまり、形勢差を伴う有利な手は、連続した攻めの手からのみ生まれます。このため、構想での初期段階では、「連続した攻めの手」を準備する戦いが展開され、「先手」や「連続手」を得ることで、地を囲う構想の準備ができたことになります。

(2) 読みでの連続と必要性

 読みとは、基本的に連続性、必然性を含んだものであり、その連続性によって効果をえることを意味しています。

連続性による効果は、攻め合いに勝つ、相手の石を取る。などの全てにおける基本動作になりますが、効率としての読みは、連続して攻めることによって生まれる地の生成にあります。つまり、連続して攻めることが地の効率差が生まれることになります。

連続の効果の例としては、単にあたりの手は悪手が多いのでが、あたりが連続して取れると、非常に効率の良い手になります。

(3) 連続阻止の効果

一手の効果としては、相手に連続手を打たせない守りの効果が大きくなります、着手数としても多くなります。

守りの手は、相手の連続手を阻止することが目的であるため、連続手にならなければ、守りの手を打つ必要がないことになります。

2 制約する手とは

制約する手には、

  1. 守りを意識した積極的な攻めの手
  2. 攻めを意識した守りの手
  3. 最大争点での戦いを準備する手

このため。多くの着手は、この2つの権利を

  1. 準備する戦い。
  2. 獲得するための戦い。
  3. 活用する戦い

が展開され、準備の戦いが「制約する」という概念の手になります。

3 構想と攻守の概念

 構想の目的は、攻めるための準備であり、攻められないための予防になります。そして、もっとも重視されるのが、「攻めの連続性」になります。基本的は、2手以上連続して攻めることができるかによって、地の生成効率が変わることになります。

(1)攻めると守る効果

「攻める」と「守る」の効果は、確定性に比例し、一手の着手効果として、攻める効果より、守る効果の方が大きいのですが、勝負での戦いの効率からみると、攻める手の影響の方が大きくなります。

(2) 連続評価

攻める評価は、連続した評価によって大きく影響を受け、守る評価とは、相手に攻めさせない評価になります。

(3) 「攻めながら守る」と「攻めながら囲う」とは意味が違う

「攻めながら地を囲う」のはヨセの手であるため急ぎませんが、「攻めながら守る」は戦いの手になるため、急場の手や制約の手になります。「守りながら攻める」は守りの手になります。

(1)攻めを意識した守りの手

これは相手から攻められないように打つ手で、本来は単純に守るべきところを、守りの効率を高める手段として工夫した手をいいます。この手についての、着手評価は勝負としては、あまり意味はありません。

(2)「守りながら攻める」

これは、構想のための手段であって、守りの手ではありません。つまり、連続した攻めの準備として、守りを強化した手になります。
攻めるという手の概念と制約する概念とは違います。攻める効率は、連続性と必然性が確保されていないと、その効果は小さいといえます。このため、一手だけで、連続性の乏しい手の評価は、対象外になります。つまり、基本は次の狙いという連続性にあることになります。

(3)争点を絞るための手

複数の戦いが関係することで、形勢がいい場合には、着手ミスを減らす視点から、戦いを簡明し、悪い場合には、複雑にする手をいいます。

3 捨石での制約

攻める動作は、「捨石を使った攻め」、「捨石を使わない攻め」とに別れます。構想の中心は、捨石を使用した攻めになります。このため捨石という効率と機能を辱知する必要がある。

捨石を上手く使えるかどうかの能力は、棋力と正比例します。捨石を知らないと、高段者にはなれないし、高段者でも捨石の能力差で、棋力差が生まれています。

(1) 捨石への対抗

捨石の効果とは、相手の眼形を奪う、また相手を凝り形にするなどすべて場面で現れています。

捨石による制約では、相手に石を取らせることによって、相手の地を制約することが基本になります。このため、この捨石効果を働かさないためには、捨石を一手で取る手ではなく、3手かけて大きく取るか、取らずに重くすることで、相手の捨石に対して対抗することになります。