囲碁理論の入門講座

囲碁理論を学ぶ

入門とガイダンス(7) 戦いの領域の変遷

1 取られない石が取られる理由。

序盤では取られない状態であっても、中盤から複数の戦いが、関連することで、生きるのに必要な空間が狭くなり、また相手の石が接近することで、領域の分断がされやすくなり、分断されると、生きるために新たな眼が必要になります。終盤では、新たに眼を作る広さがなくなっているので、生きられなくなります。つまり、生きることの予測ミス、手順ミスによって、石が取られる事態が起こっています。

2 領域として生きる条件

領域には生きるための最低空間が必要です。このため、打つ時にも条件があり、

  1. 打った時点で生きられない石は打ってはならない。
  2. 生きられない石は、生きた石と連結する。
  3. 生きた石同士を連結する必要はない。
  4. 地を囲う場合には、取られてはいけない。
  5. 捨石を使えると有利になる。

これらが、着手選択の絶対条件になっています。

3 生きられる可能性が減少し、生きられなくなる。

 打った自分の石の周囲に、相手の新たな石が打たれると、

  1. 生きる為の空間が狭くなり、生きにくくなる。
  2. 分断され、連絡できなくなる危険性が大きくなる。

このため、相手の石が接近すると、それに対応した手が必要になり、生きる空間が狭くなると、新たな連結手段が必要になります。

4 分断する条件

 分断するには、分断できる対象が必要です。そして二眼できるスペースの確保が困難な対象をいいます。このような分断条件が無い限り、分断の危険は存在しないことになります。また、生きる必要性がなければ、急いで打つ必要がないため、

法則 生きる必要性がない急場には生まれない、

逆にいうと、生きる必要性がある場所は、必ず急場になることになります。

5 分断のスピードは、連結スピードより早い

分断スピードは連結スピードより早いため、いつも用心が必要です。その用心は、領域が分断されると、

  1. 生きた領域に繋げる
  2. 領域内で生きる。(セキもある)
  3. 分断した相手の石をとる

このいずれかが条件になります。

6 領域の変遷

領域の変遷は、
 @未確定領域、A勢力領域、B戦いの領域、C 生きの領域、D死の領域(確定地)と変化します。

勝敗の結果は、CとDの領域になりますが、戦いは、@〜Bまでの間で展開され、Cの領域での戦いになると、戦いは非常に不利になります。

7 地の制限と捨石効果

戦いの領域においては、取られてはいけないという制約が小さいため捨石の損失は非常に小さく、その効果は大きくなります。このため、相手の「地を制約する」、また「生きを制約する」ために、数多くの捨て石が使用されます。

8 生きの領域での不利な戦い

戦いの目的は、生きる戦い、地を囲うことを目的としているのですが、生きの領域での戦いでは、捨石が使用できないため、戦いが非常に不利になり、相手に先手の権利を与える結果になります。なぜなら、片方には、生きなければならないという制約があるからです。

9 戦いの領域と生きの領域

戦いの領域とは、捨石が使用できる、また相手の石を攻めることで利益が得られ領域をいいます。この領域が狭くなると、生きの領域となり、さらに狭くなると死の領域になります。

この戦いの領域において「攻める」、「守る」という目的で「制約する」、「制約されない」という手が打たれます。

つまり、自分が制約されると生きる必要性が大きくなり、相手を制約することで、生きる心配がなくなることになります。

10 生きが厳しく制限される

生きの領域では、この捨石の活用がかなり制限され、捨石が打てなくなります。地の可能性が制限され、生きの可能性が制限されること、捨石が使えなくなり、苦しい戦いを強いられることになります。この結果、構想の自由度が低下することになります。

このように、捨石と制約、構想とは、密接な関係があり、捨石を上手く使うには、生きの領域ではなく、戦いの領域での捨石の活用が重要であり、このことで勝負に大きく影響することになります。