囲碁理論の入門講座

囲碁理論を学ぶ

入門とガイダンス(6) ゲーム理論と上達法則

1 生きの領域の制約

(1)19路盤 全体でのグループ数の制約

囲碁というゲームは、対局開始時点は、広大な宇宙が広がっていると考える人がいます。そして、そこにはたった一つの分子(石)が活動し、集まることで機能が生まれ、機能の違いによって効率が生まれる。など考えている人は、きっと間違った理解をしています。

実際には、広大な宇宙は存在せず、無限でもなく19路という有限の広さは、非常に狭いものなのです。その変化も限られたものでり、終局においては、盤面に存在できるグループは、最大でも9グループ以下でしかありません。つまり、構想にも着手にも、大きな制約があるのです。

(2) 一つの「グループの石」が、生きるための最低領域

最大で9つのグループしか存在できない理由は、一つのグループ毎に、生きる最低の空間領域を「生きの領域」を保有する必要があるからです。生きの領域は碁盤の場所や形で異なりますが、二眼という広さを空点を内蔵することが義務づけられています。この二眼の広さは、2目の空点とは広さが異なります。

つまり、どこにでも自由に打てるゲームなのですが、終局において盤上に存在するために、自由に打てないルールが存在し、生きるためには、その条件を満たさないといけない制約のゲームになっています。

2 制約が生まれる原因

 制約が生まれる原因は、石が取られる、生きることというルールによって生まれています。しかし、本来は石が取られることがないため、取られることを心配しすぎて、過剰に生きることを心配する必要はありません。単独で生きようとする手は、非常に効率がわるく悪手になります。

3 石が取られる危険はある

生きる手は悪手なのですが、生きることを用心しないと石は取られる危険がいつもあります。このため、非常時には、自分から生きる必要があります。このため、通常は、いつでも生きられるという条件で打つことは重要で、生きる注意を怠ると石が取られる危険はいつもあります。

4 取れない石だからこそ、制約によって攻める

相手がこちらの石を強引に取ろうとしてきた時には、その手を咎めて、取る力も必要です。咎める力がないと、悪手がいい手になるからです。悪手を咎める方法は、相手の石が取れるのが一番ですが、実際には、石は取れないため、形を崩して相手を生き難くさせる、狭い空間から広い空間に脱出することになります。

5 制約の効果(最後の結晶)

制約の効果は、盤上の石が増えることで、自然に空間が狭くなると一気に現れます。つまり、序盤において生き難くさせることで、戦いの自然な流れだけでは、二眼が作れない(生きられない)状態が生まれます。これが地の制約、生きの制約効果になります、

6 機能の誕生

空間が地になるには、数個の石が必要です。また、眼を作るにも、やはり数個の石が必要になります。このように数個の石の連携によって、地になる、生きるという機能が生まれます。また自分の確定地も、相手が生きられない空間になることで、自然に生まれ、同時に自分の石も、生きられる可能性の石から、完全に生きた石になります。

7 戦いの中で自然に生きた状態を目指す

生きるために、生きる手を打つのではなく、相手を生き難くさせる行為によって、自分の石が生き易くなり、自然に確定地が生まれるのを、構想といいます。生きる注意さえすれば、本来は自然に生きることが可能です。

8 盤上の石は存在できる。

囲って、相手の石は取れないという制約は、

法則 相手の石を自由に囲うことはでできない

という法則になっています。なぜなら、1つの石を囲うって取るには4つに石がひつようであるため、基本的には、囲ってとることはできないからです。このことによって、打たれた石は、特別な事情がない限り、盤上に存在できるという条件が満たされています。

9 ミスをしないためには、

生きられる石であっても、単独に自分から生きようとする手は効率が悪く打てません。このため、序盤や中盤から、戦いによって生きることを工夫することが重要になります。つまり「攻めながら生きる」「戦いながら生きる」ことになり、相手の弱い石を攻める(制約する)ことで、できるだけ早い段階で生きる準備を心がける必要があります。