確定性

1 最善手とは

最善手には、自分から求めて打つ手と、自分から打たない手の2つのパターンがある。

(1)自分から打つ手には、

  1. 相手のミスを咎めて悪手にする。
  2. 自然確定によって地を増やす。
    これは、2者選択の構想の分岐点において、より地の自然確定の大きい手を選択する行為である。

(2)自分から打たない手には、

  1. 悪手や着手ミスを打たない。

なります。特性としては、「@相手の着手目的を明確にし、A必然の流れによって、B 自分からの打ちすぎのミスを用心し、C緩やかな制約の下で相手を動かす」ことが必要になります。

2 構想の2者選択

構想の2者選択は、相反する選択の事象をいう。その代表が、「厚み」と「実利」の交換、「可能性」と「確定性」の交換になる。

つまり、「確定性」の大きい手は、可能性を犠牲にすることになる。格言には、「弱い石につけるな」「強い石を強くする」というのがあるが、このらは、その実戦テクニックを表現している。

構想として相反する選択には

  1. 「生きる」と「捨てる」
    これは、どちらも、「構想の自由性」としては、プラスの選択行為であるが、その損得は正反対になるパターンである。
    「取る」と「攻める」という選択はない。確定の大きさ、危険性の大きさの違いであって、相反する選択とはいえない。
  2. 「消し」と「打ち込み」
    消しは、相手に「地を囲わせえる」。「生きさせる」という強制行為であり、「打ち込み」は、打った側にとっては自分自らの着手を制約する行為になるが、この結果によって、相手の構想を制約することを目的としている。つまり、 「自分の着手制約」と「相手の構想制約」の交換になる。

3 囲碁ルールの特徴

  1. 盤上の石は増えていき、可能性が減少する。
  2. 可能性がなくなり、すべてが確定することで、終局になる
  3. 生きるまでの間、打った石は取られる危険があり、大石が取られると負ける。
  4. 交互に打つため、連続して打てると効率がいい。
  5. 石が取られると、形勢と連結状況が大きく変わる。
  6. 複数の戦いが、同時進行して展開する。
  7. 目的達成には、達成の難易度がある。
  8. 場所(隅、辺、中央)によって、目的達成の難易度が違う
  9. 打った石は動かせないため、捨てるか生きるしかない。
  10. 目的を達成するには、最低でも3つ以上の石数が必要になる。

4 手順進行とその効率変化

1.可能性の減少

可能性は対局開始時が最大であり、盤上に石数が増えると徐々に可能性は小さくなる。

2.危険性の増大と必然性の誕生

可能性が減って、石が取られる危険性が増えると、必然性が大きくなる。

3.必然性の誕生によって、制約が生まれ、効率が生まれる。

必然性が生まれることで、目的達成率に差が生まれ、効率差が生まれる。