付録020 囲碁用語の定義.doc
新・碁の方程式 まとめ

付録20 重要な囲碁用語

【囲碁ゲーム】

  1. 囲碁とは、相手の構想や着手を「制約する」ことで、地の大きさを争うゲームです。
  2. 制約するには、手抜きした場合に「相手の石を取る能力」が絶対必要になります。
  3. 制約とは、相手の大石を取ろう(攻める)とすることで、相手を逃げさせる動作を強制することで、相手からの反発を低下させ、効率の良い地を得ようという考え方になります。
  4. 石を取る能力は、「攻める」という考え方によって、「戦うことで地が増える」という能力に変換されます。
  5. 地とは、相手の石が存在できない空間であり、この状態で終わるには、もし相手が活きようとしても、相手の石を取る能力が必要になります。
  6. 棋力は、石を取る能力が90%以上占めており、その能力と完全比例しています。

【地とは】

  1. 相手が、活きることができない空間をいいます。
  2. 相手の石を取り上げた空間も地になります。

【形勢差とは】

  1. 形勢差は、勝負に勝てる確率的な大きさで表現できます。
  2. 形勢判断での地の大きさの計算式は、下記式になります。
     地の大きさ = 地になる可能性 x 地になる確定率
  3. 地になる可能性とは、片方だけが地になる「勢力地」のことです。
  4. 地になる確定率とは、勢力地が確定地になる確率のことです。

【基本ルール】

ゲーム特性に関する主なルールは

  1. 勝敗は、地が大きい方が勝ちです。
  2. 黒白交互に打つ。
  3. どこにでも自由に打てる。
  4. 囲うと相手の石が取れる。
    ただし、禁じ手の場合は、石が打てない。
  5. 二眼できて活きた石は、絶対に取られない。 
    これらのルールは、地の確定率に大きな影響を与えています。

【9つの価値の効率価値】

  1. 自由性…着手、構想が自由に選択できること
  2. 危険性…石が取られる危険があること
  3. 可能性…地として囲える空間があること
  4. 確定性…生きた石は、絶対に取られないこと
  5. 安定性…見合い条件で、戦いが停止すること
  6. 関連性…複数の戦いが、同時に進行すること
  7. 必然性…この一手の手しか、選択ができないこと
  8. 連続性…2手連続して打てる場合があること
  9. 効率性…上記の複数価値が同時に変化すること
  10. 制約条件… 効率を高めるには、条件ある。

【3つの基本価値】

3つの基本価値には、「確定性」「可能性」「危険性」の3つがある。自由性には、構想の自由性、着手の自由性がある。

【最終価値】

最終の価値は、「必然性」と「連続性」いう2つの価値がある。「必然性」が「連続性」になると地の効率が飛躍的に増大します。

【石を取る】

  1. 囲碁ルールによって決まっています。 
    相手の石を囲って取る、または殺して取る動作をいいます。
    相手の石を取るには、「囲って取る」「死活で取る」の2つの方法があります。
  2. 大きな石が取られると、形勢が悪くなり、勝つことが困難になります。このため、自分の石が取られないように用心するがいつも必要になります。
  3. 単純に相手の石を囲って取ることはできないため、取られることを、過剰に恐れる必要はありません。
  4. このルールによって着手効率が生まれ、勝負に影響する構想の制限も生まれます。
  5. 棋力は、「相手の石を取る能力」の影響が90%以上占めるため、「死活」「攻め合い」「手筋」「読み」の勉強が主流になります。 
  6. 「絡み攻め」の状態になると、石が取られる危険がかなり増大します。
  7. 石が取られる危険度は、中央の石の方が大きくなります。

【逃げる】

  1. 大石が取れないように回避する行為をいいます。
  2. 逃げるには、「活きる」「連絡する」の2つの方法があります。
  3. 「活きる」とは2眼を作ること、「連絡する」とは活きた石へ繋げる動作をいいます。
  4. 逃げる動作が多くなると、形勢が悪くなります、
  5. 逃げても、不利になる場合が多く、「捨てる」という戦略がとられます。
  6. 棋力の低い人ほど、逃げる石が多くなります。

【攻める】

「攻めないと勝てない」という第一法則があります。攻めるとは、相手に構想の制限、着手制限を強制することをいいます。眼形を奪う、生きる空間狭める。分断するなどの動作で、相手の石を活きにくくさせることをいいます。「攻める」動作こそが、基本動作になり、徐々に形勢差が生まれ、これが棋力差になります。

積極的な攻め 

  1. 相手の地を狭める。(構想の制限)
  2. 相手の眼形を奪う(生きの制限)
  3. 相手の無理手を誘う(手を強制する)
  4. 相手の形を崩す。 (反発の阻止)

などがあります。

【守る】

守るとは、負ける危険性を減らす動作であり、相手から攻められないよう防止する動作のことです。着手としては「攻める」より効率が悪く、あまり打つべきではありません。

積極的な守り

  1. 相手の悪手を咎める。 (効率利益)
  2. 捨石にする。取らせる、囲わせる。

消極的な守り

  1. 自分への制約を排除する。(反撃する)
  2. 悪手、緩手を打たない。

【絡み攻め】

  1. 2つの弱い石を同時攻めることで、攻める効果を高める動作です。
  2. 「絡み攻め」になると、石が取られることが多くなり、勝負に大きく影響します

【着手価値】

  1. 地の大きさは、下記の計算から得られます。
     地の大きさ = (B)地になる可能性 x (F)地になる確定率
  2. 地になる可能性とは、片方だけが地になる「勢力地の大きさ」のことです。
  3. 地になる確定率とは、勢力地が確定地になることです。

【地の可能性】

  1. 自分の地がつく可能性の大きさのことで、勢力地のことです。
  2. 大場に打つの打つのは、自分の「地の可能性」を保持し、相手の「地の可能性」を制限するために打たれています。 

【地の確定率】

  1. 勢力地が、確定地に変化する確率のことです。この確率が100%である場合は、勢力地がそのまま確定地になります。
  2. 地の確定率は、自分の石が取られる死の危険性と比例しています

【死の危険率】…石が取られる状態

  1. 石が盤上に打たれると、その時点で石が取られる危険率は生まれ、完全に生きた状態になるまで変化し続け、完全に活きた状態になると危険率はゼロになります。
  2. 危険率が100%を越えると確定率が100%であり、取られた状態の石は、一旦取られた石は、二語と生きかえることはありえません。

【確定性】

  1. 確定性とは、終局に向かって、確定した状態になることをいいます。
  2. 確定目的には、活きの確定、地の確定(死の確定)、勝敗の確定、の3つがあります。
  3. 確定値が100%になると、その値は変化しなくなります。
  4. 活きの確定値は、石が活きられる大きさであり、死の確定は、石が活きられない大きさです。
  5. 確定地とは、相手の活きられない「死の確定空間」のことを意味しています。

【勝負の法則】

  1. 攻めないと勝てない。(受けるだけでは勝てない)
  2. ミスを咎めないと、勝てない。

【構想に関する基本能力】

  • 棋力評価……… 勝敗は、地の大きさで評価されるが、棋力は「石を取る」「生きる」、「攻める」力である。
  • 危険回避…… 大石が取られると負けるという制約がある。
    逆転できない状態を、勝敗の確定という。
  • 構想の制約… 構想では、目的達成スピードの違い、隠れた天元の戦い、先手の権利を獲得するなど、着手効率による戦いと制約条件がある。また、地になる形や場所などの碁盤には、構想の効率条件がある。
  • 構想の効率…… 中央への厚みの働き、天元での戦いを意識した
    布陣から、効率が生まれる。
  • 着手の制限…… 大きく地を囲うには、相手から邪魔されない状態(環境)を作る必要がある。
  • 確定地の効率… 確定率の大きさで、確定地の効率が決まる。

理論からみた基本用語の定義

(1) 確定地とは

確定地とは、「死の確定空間」のことで、完全に生きた石で周囲が囲まれた空点の場所です。この空点に打たれた石は、死石として終局時点で取られることが確定した場所をいう。つまり、相手が生きられない領域の空点または死石の場所をいう。つまり、確定地とは、 盤上に石が存在できない場所が生まれ、この場所を「確定地」と呼ぶ。

(2)「生きた状態」とは

囲碁の戦いにおいて、死活に関する知識と能力は、囲碁における基本能力として評価されています。死活の規定では「生きた状態の定義」のみがなされています。生きた状態の判断基準は、眼が2つある状態として定義されています。眼が2つあると、禁じ手部分が2つできるため、石が取られなくなるからです。

(3) 「アタリ」の言葉で「生きた状態」を定義する

生きた状態の定義を、「アタリ」という言葉を使って定義することをできます。「アタリ」とは、あと一手で石がとれる状態であるため、「アタリ」にすることができなくなった状態を生きた状態と定義できます。厳密にいえば、「生きた状態とは、いくら手抜きしても『アタリ』にできない状態である」と言い換えることができます。またこれを生きていない状態を逆説的にいえば、「手抜きによって『アタリ』になる石は、完全には生きた状態ではない」といえます。

(4)「シチョウ」と「ゲタ」の最終形は「アタリ」の形になる

「アタリ」の状態は、基本的には「シチョウ」と「ゲタ」の最後の形として含まれています。「シチョウ」はアタリ、逃げる、あたり、逃げるという動作によって、連続して相手の石を攻めながら取る動作であり、ゲタは、相手の手数が2手以下になるよう「逃げるとダメが詰まるように打ち、最後にアタリして取る手」手をいいます。

(5) 欠け眼の判断は、「アタリ」の有無で判断される

欠け目かどうかの判断も、将来「アタリ」になるかどうかの判断によって行なえます。また「追い落とし」や「打って返し」などの手も、やはり「アタリ」の有無が判断が重要な基準になります。