付録022 構想の制約一覧.doc
新・碁の方程式

付録7 構想の制約条件

構想を立てるには、囲碁特有の効率法則をもとにした制約条件を満たしながら、状況に応じた戦いの選択が必要になります。
戦い(確定性)によって、着手効率を高める動作や能力。

  1. 攻めながら守る。
  2. 勢力地を確定地に変化させる。
  3. 優位な戦いに誘導する。
    (絡み攻め、中央の戦い)

前提1 コミ制約

6目半のコミは、構想に大きな影響を与えます。コミが4目半から5目半に増加する意味と、5目半から6目半に増加する意味とは大いに違います。4目半から5目半への変更は、勝率の平等化を意味視しますが、5目半から6目半は、構想そのものに大きな影響を与えています。

前提2 コミ1目は、大きな勢力地が必要になる。

確定地の1目のコミは、勢力地で換算すると、3目から5目もの大きさになります。5目も多く勢力地を広げると、布石での構想におおきな影響を与えます。

第一の制約 目的達成スピード(効率)が違う。

戦いには、目的達成スピードの違いから、

  1. 逃げる石は、取れない。
  2. 生きようとする石は、殺せない。
  3. 邪魔されると、地は囲えない。

という3つの制約条件があります。このため、目的を達成するより阻止する効率が大きいという法則が生まれています。さらに直接石を取る構想ではなく、攻めるという構想が組み立てられています。

第二の制約 危険回避の効率

地の増加で得られる利益より、石が取られることで失う損失の方が大きいため、石が取られないように打つ危険回避の価値が優先され、このことによって、必然であり先手という価値が生まれることになります。

第三の制約 定石が生まれる

戦いの結果は、この法則によって「互いに生き生きの状態になる」つまり「取がられない状態」になります。この手抜きできない連続した手順が定石になります。

隅や辺側に打たれた石は、中央側に打たれた石より手抜きすると取られる危険が大きいため、打たれた石が取られないようにするには、生きる手を優先して打つ必要が生まれています。この結果、辺に打たれた石は、三線や二線に這う手が優先され強制されることいえます。特に序盤での最初にできる定石はこの傾向が大きくなります。中盤にできる定石では、この生きる制約が小さくなり、そのため変化が多くなり、戦いの手順も複雑になります。

第四の制約 生きる形になる。

辺や隅に打たれた石は、狭い空間で生きなければならないため、地を囲って生きる形の手順が定石となります。

第五の制約 石が取られると地にならない。

地を囲う場合に囲う石が取られると、地にならないため、取られないように打つことが絶対条件になります。

第六の制約 地の囲い合いでは、形勢差は生まれない

「大公のまね碁」からもわかるように、碁盤が正方形であることから、地の大きさを意識した囲い合いの戦いでは、形勢差は生まれません。

第七の制約 隠れた天元の争点が最大争点になる。

辺や隅の戦いでは、「大公のまね碁」からもわかるように、碁盤が正方形であることから、戦いの結果は互角であり、形勢差は生まれません。形勢差、中央への石の働きや中原の石の働き差で生まれている。

第八の制約 絡み攻めにされると不利になる。

絡み攻めの状態が狙えると、戦いは一気に有利なります。このたね、もしその断点があれば、切断によって、2つの生きていない弱い石のグループが生まれると、絡み攻めになります。

第九の制約 切断手はいつも狙われている。

厚みであってもその厚み断点がある場合、もしその断点が切断され、2つの生きていない弱い石のグループが生まれると、絡み攻めと同じ状態になるため、この切断の有効性を争点にした戦いが展開されます。

第十の制約 取られる危険性があると不利なる。

盤上に打たれた石は、手抜きすると取られる危険性がある石として打たれています。このため手抜きする場合は、取られてのいい石か、取られない準備をするかのどちらかの場合に限定されます。

第十一の制約 死活状態に影響すると、価値が大きい

石が取られると、相手の石は強くなり、自分の石は弱くなります。石を取ることで生きる場合は、その手が優先され、このような、取られてはいけない石は要石になります。さらに取られた場合に、その周囲の石に取られる危険が広がる場合は、種石になります。

第十二の制約 生きる条件は、限定されている。

完全に生きるには、2眼作るかまたは生きた石と連絡するしかありません。このため、生きさせないよう邪魔している相手の石をとって生きる手は、もっとも効率のよい手になります。

第十三の制約  戦いの一時停止と再開

四隅の戦いは、ほぼ生きた状態になると、完全に生きなくても、その局所的な戦いは、一時停止することになります。

そして一時中断した戦いは、手順進行によって、地になる可能空間が狭くなり、また眼形が乏しくなることで、「取られる危険性が増大」し、完全に生きた状態になるためも戦いが再開します。

第十四の制約 複数同時進行の戦いが起り、石が取られる危険が大きなる。

4戦以上の石は、石が取られないため、全局的な戦いとして、他の四隅の戦いと関連して展開されりとになります。

このため、単独に戦いでは、簡単に生きられる場合であっても、複数の戦いが同時進行すると、見合い条件や先手の利き筋が生まれ、石が取られることが起る。