囲碁の本質
(1) 概論
囲碁ってどのようなゲームであるかの結論が見えてきました。
◆ 勝負は判断ミスによって生まれている
ゲームの勝敗は、予測不能な判断ミスの差によって生まれ、決着がついています。これは対戦型思考ゲームすべて」に共通して言えることかもしれません。この予測不能な判断ミスが存在するからこそ、ゲームとして存在し、そのミスの処理能力差が棋力であるといえます。
◆ 棋力とは何か
棋力とは、判断ミスの対応力であるといえます。予測不能の判断ミスを完全にゼロにすることはできません。このため、対局における対応方法としては、
- 自分の判断ミスを減らし、起ったミスの損失を最小限に低減させる。
- 相手の判断ミスを追求し、最大減に活用する。
ことであり、この2つの能力差によって形勢差が生まれています。
◆ 棋力と能力
棋力を構成する能力には、
知識では
- 自分のミスを最小限に抑える論理
- 相手のミスを最大限に活用する論理
着手選択する場合は、
- ミスが生まれにくい検証方法、
- 損失を最小限する修正方法があり
これら実行する読みが必要になります。
◆ 必然の手順の読み
対局では、思考時間に制限があるため、短時間で必然手順を見つけ、検証できる能力が求められることになります。検証能力を高めるには、考慮すべき検証範囲が広くする必要があり、検証範囲が広くなればなるほど、検証時間がかかり読みのスピードが問題になります。
◆ 棋力と才能
読みのスピードという才能は、年齢的な優位性、訓練による能力開発、個体による先天的な能力差の違いがあるため、この正確な読みのスピード能力の獲得の必要性から、囲碁が最強の頭脳スポーツとして位置づけられた理由になっています。
(2) 構想ミスと構想要件
勝負における形勢差は、構想ミスの発生とその対処能力差から生まれています。
A)構想における必要な基本能力
能力1 検証能力の読み
「検証能力」の読みとは、
- 手抜きした石を、取ることができる能力。
- 手抜きしない石は、絶対に取られない能力。
この2つの能力をいう。
能力2 攻めの検証能力
「攻めの検証能力」とは、@ 2手以上の手抜きがあると取られる危険性がある石であるについて A 2手目以降の手抜きをさせないように、B 連続して相手に受けを強要させる能力である。
能力3 予想結果の検証能力
戦いの結果、地になる可能性大きさの相対的な増減が、優勢になったことを数量的に計算できる能力。
B) 構想の優先条件
優先1 構想阻止する戦略
「構想の読み」とは、自分の石が取られないことを前提に、相手の構想を互いに阻止する戦略である。
優先2 手抜き、反撃の阻止
石を取る能力によって、相手の手抜きや反撃を阻止し、効率のいい地を邪魔されずに囲うことができます。
優先.3 大場、好点への先行
「構想力」で必要な手抜きできるかの能力は、手抜きしても石が取られるかの判断力で評価される。手抜きできる場合は、大場、好点への先行が優先されます。
C) 構想における戦いの能力
戦う能力1 石が取られない能力
読みの能力は、自分の石が取られる危険があっても、石が絶対に取られない能力のことである。石が取られないように打つためには、相手の石を取るか、自分の石を生きるかの2パターンしかない。
戦う能力2 絡み攻め
弱い石が2つできる時に、石が取れる危険が一気に大きくなることで、その能力を発揮することである。有利な戦いは、「攻めの読み」を実行しないと勝てない。
戦う能力3 複数同時の戦いへの対応
取られる危険のある複数の戦いが同時進行しても、石が取られないよう打てること、また取られても勝敗に影響しないようい調整能力である。
(3)入門者への理論教育の重要性
入門初級者にとって、正しい理論教育はもっとも重要な根幹教育である。なぜなら、その時期に行われる知識提供は、入門初級者にとって「囲碁とは何かを考える思考の根幹」となるものだからです。このため、入門初級時に間違った教育を最初に受け取ると、その人の人生は、その受けた教育の修正のために多大な時間を強いられ、間違った知識から生じる自己矛盾によって理解が困難となり、「学習意欲の中断」や「上達の停止」という精神的ストレスが生まれることになるのです。