着手ミスと棋力アップ(2)

A)自分のミスから生まれる損失

自分のミスから生まれる損失には、「石が取られる」「地が減らされる」「地が増えない」など直接的な損失が生まれる手と「絡み攻めになる」「分断される」など、自分の石が生き難くなることで、損失が生まれる確率が大きくなり、相手への反発ができなくなり、価値の低いの手の選択を余儀なくされることで、間接的な損失が生まれる手があります。

◆ 自分のミスになる原因には、

  1. 手抜きできないのに手抜きする(知識がない、気づけない)
  2. 必然の手順が読めない。(正しい手順をしらない。必然の手順になる理由を知らない)
    • 守りの手順ミス。(損失を大きくする。)
    • 攻めの手順ミス、(獲られる利益を小さくする。)
    • 先手であると勘違いをする(先手ではなく守る手があった)
  3. 計算(評価ミス)
    • 一手で増える地の大きさや損失の大きさを間違う。
    • 小さい地を囲う。小さい地を守る。
    • 振り変わりの大きさを間違い、損をする。
    • コウ争い損コウや、無コウの価値の低い手打つ。
  4. 形勢判断の選択のミス
    • 形勢が悪いのに、安全な手を選ぶ。
    • 形勢が良いのに、危険な手を選ぶ。
  5. 形勢判断のミス
    • 形勢判断が正しくできない。
    • 確定地の計算と勢力地の計算方法の違いがわからない。
  6. 石が取られる危険な手を選択するミス
    • 安全な手があるのに、危険な手を選ぶ。
    • 絡み攻めの危険な手を選ぶ。
    • 攻められるターゲットが生む手を選ぶ。(重くなる)
  7. 相手の手や構想に対して反発できない手を選ぶ
    • 石が捨てられなくなる。
  8. 一手パスの手を打つ(価値の低い手を打つ)
    • 地が減らないのに守る。
    • 石が取られないのに守る。
    • 地が増えない手を打つ。
    • 打っても地が増えない手を打つ。 

◇ ミスが生まれない根本治療の学習とは、

アマの対局において、いつまでたってもミスを減らすことができない理由は、囲碁では新たな局面が無限に生まれ、そのたびにミスが生まれる危険性が生じているのですが、今まで学んだ「形による手順や知識」では、「新たなミスそのものが発見できない」、「ミスに対する対応ができない」という事態が頻繁に起っているのです。

この問題を根本的に解決するには、その原因である「ミスが生まれる原因となる、囲碁ルールと着手効率、着手価値の関係を知らない」ことにあります。囲碁における「着手効率」「着手価値」の基本原理を理解し、どのような場合に、どのような場所でミスが起るのか、その要因を見つけ、そのミスが生まれる可能性を減らし無くす能力の育成でしか、ミスを減らすことができないということになります。

囲碁におけるミスは、すべて可能性から生まれる確率であるため、複数の特殊条件がすべて成立する場合でないと、ミスは発生しない法則があります。このため、ミスを減らすには、ミスが発生条件となり、損失として確定するまえに消去すればいいということになるのです。これは、健康を維持する努力と病気との関係に似ています。病気になる原因を完全に無くすことはできませんが、病気にならないように、その要因を減らし予防することはできます。病気の発生も単一の原因によって病気になるのではく、複数要因の関係した時に、初めて病気として発症するからです。

B)相手のミスから得られる利益

相手のミスから得られる利益とは、自分のミスから失う損失の全く逆で、「石が取れる」「地が増える」などそのミスを咎めることで、直接利益を生む場合と「絡み攻めにする」「分断する」など相手の石を生き難くくさせることで、相手の損失が生まれる危険性が大きくなり、相手の構想や反撃が低下することで、間接的な利益が得られる手があります。

◇ 相手のミスを咎められない損失(攻めるための、必然の手順を知らない、打てない)

  1. 相手の石が取れるのに、取れない。
  2. 相手の地が減らせるに、減らせられない