囲碁理論の概要(碁の方程式 基本概念)

第4章 ゲームとして着手効率

ゲームとしての効率は、そのルールによって規制され制約されます。

囲碁のルールと着手効率

1. 危険回避から生まれ効率。

囲碁ルールでは、着手ルールがどこにでも打てるとういう「自由さ」が基本となっているため、石が取られないように生きるという危険回避を活用することで、着手効率が生まれています。なぜなら、「打たれた石は、生きなければならない」という条件があり、生きないで放置すると「死活」や「攻め合い」によって石が取られることになります。この取られるという危険を回避するには、

  1. 生きることによってその危険性をゼロにする。
  2. 相手の石を取ることによって、危険性を回避する。
  3. 生きた石と連結することで、危険性を回避する。

の3つの方法あります。

2. 囲うと取るの比較から生まれる効率差。

1手で「地を囲う効率」と「相手の石を取る効率」との比較では、
どちらもできる形が同じであるため、単純には石を取る効率が、地を囲う効率より2倍大きいことになります。しかしながら、

  1. 石を取る方が相手からの反発が大きいので、地を囲うより難しい。
  2. 地を囲うより相手の石を取る方が、ミスの危険性が大きい。

このようなミスは、相手からの反発によって、逆に自分の石が取られることで起こります。

3. 交互に打つことから生じる効率

A)必然や連続よる効率

白黒交互に打つル−ルによって、「連続した手が打てないというルール」があります。
このため、効率のよい地を囲うには、相手から邪魔されない必然手順で、連続した手が打てることが必要なります。

B)見合いや振り変わりの効率

必然でない場合には、戦術として「見合い」、「絡み攻め」、「もたれ攻め」などが生まれ、結果としては「振り変わり」「生き生きの共存」の状態になる傾向(特性)が生まれることになります。

4. 可能性を保持する効率

可能性の効率とは、大場に先行し @ 相手の「地の可能性を制限し、A自分「地の可能性を保持する」ことをいいます。 可能性とは、「一手で地を囲うことができる大きさ」のことであり、序盤ほどその価値は大きくなります。この@とAは一手で同時に起っており、手数の進行と反比例し80手を過ぎるとほとんどゼロになります。

5. 生きを確定させる効率

 「生きる」「連絡する」という動作は、確定する効率、つまり確定度が大きくなることをいいます。「分断する」「切る」という動作の場合には、確定度が小さくなることになります。確定度が大きくなると、生きやすくなり(取られ危険が縮小)、変化が小さくなります。

6. 同時損失の発生で、決まる選択効率

自分の石が取られる危険な手と相手の地が増える手は、一手で同時に生まれることがあります。この場合は、自分の石が取られる危険が大きい場合には、相手の地が増え、相手の地を阻止する場合には、石が取られることになります。

7. 黒番と白番に違いで生まれる構想の効率

コミのハンディは、棋力があがるほど、その負担は大きくなります。このため布石の構想に大きな影響を与えています。黒は、四隅の地合いが同じ場合、中央でコミを出すには、中盤において30目以上もの地の可能性として優位さが必要になります。