囲碁理論の概要(碁の方程式 基本概念)

第2章 棋力差と効率差の原因

(1)棋力差の法則

法則1
棋力差とは、生きる力(確定性への適応力)の効率差であり、それは
@「生きるまでの手順力」A「生きた石の活用力」の2つの能力である。
法則2
活きの効率差は、地の効率差と正比例でしている。

(2)効率差の法則

法則3
地の効率差は、生きた石の周囲から生まれるのではなく、生きていない石(未確定な状態の石)が、死活が確定した状態(活きた石、捨石など)になる中間過程において生まれる。

(3)連続した戦いによる法則

法則4
戦いの連続、必然性の差によって、地の効率差や活きの効率は、大きな影響を受ける。
系1
生きた石同士の境界では、大きな地の効率差は発生しない。
系2
生きた石と関連する勢力域の配置効率が、構想における最大目的になる。
系3
中央にできた強大な厚みは、活きた石とみなすことができる。
系4
大きい厚みの近くに、弱い石を打ってはいけない。(厚みに近寄るな)

◆ 争点となる領域

戦いの争点となる場所は、勢力域の境界(未確定領域)でもっとも生まれやすい。
つまり、確定領域内(生きた石の周囲または確定地の内部のこと)やその境界領域で生まれるのではない。

◆ 戦いの目的

戦いとは、生きることを中心とした着手の争いといえます。そのため、戦いの目的とは、互いに打たれた石の連結を高め、取られる危険性を低減させることであり、「相手を石は、生きにくくさせる」同時に「自分は生きやすくする」行為であるといえます。

◆ 地の増加を得るための代償準備

地の増加は、石が取られないように逃げる代償として地の増加が生まれています。つまり、石が取られる危険性をゼロにする代償として、相手への地の増加が生まれています。

◆ 危険性は、打たれた手の全てに存在する

実際の戦いで、石が取られる危険性は、「攻め合い」と「死活」の問題手順によって示されています。
打った石は原則として、無条件で取られることはないのですが、危険性は石が盤上に打たれた時から、完全に活きるまでの間いつも存在しています。このような危険性が発生する原因は、序盤で大場に打つ手から始まります。

◆ 危険性を排除する確定性

確定性には、大場などに打たれたまだ生きが未確定な石の危険度を低下させる働きがあります。危険度を低下させるには、生きるための石同士の連結が必要になります。この連結方法には「直接連結」と「空間の連結」(地の連結)の2つがあり、効率としては、「空間連結」の方が「直接連結」より有利になります。

◆ 着手効率と死活の関係

着手効率は、石の損得関係と関係しており「手抜きすると石が取られる」損失回避の大きさと、その代償として相手に与える「地の増加」との比較によって生まれています。相手に与える地の大きさは、石が活きるまでの手数が多いほど、多くの地を与えることになます。また、大きな石が取られる危険性が生まれると、地の損失も大きくなります。

◆ 確定性の数量化(確定性と確定量)

一手の着手価値は、
「活きの存在価値」と「地の確定価値」の2つの価値が同時に生まれています。
式で表すと
    w1= 活きの存在量 + 地の確定量
となり、
        地の確定量= 地の可能性×地の確定率
であるため、
        w1= 活きの存在量 + 地の可能性×地の確定率
となります。 

◆ 最適な活きの状態(眼形数の変化)

「活きの存在量」は、終局段階では眼値が2眼の2になると、完全活きの状態になるため、2以上の値は無駄な数値なのですが、対局中では、相手の手に手抜きや反発が必要であり、そのことで眼値が減るため、3前後の値を中心にした石の強さによる配置と戦いが展開されています。

また、値が2以下になると死ぬ危険が生まれるため(必然度が大きくなる)、相手の手に受ける手しか打てない状態になります。結果、適切な反発が効力が激減し、相手の地の増加が急激に増えるようになります。このことは 「相手の地の確定率が増加する」していることになります。

終局時点では、大きさが2以上になると無駄にな価値となり、その無駄が大きくなると地の効率はわるくなります。この無駄な活きの存在量は、地の大きさとして、1眼で5目程度になります。これを式で表現すると、 
        地のマイナス量 =余分な眼値(目の大きさ- 2)×5目 
の損失があるとみなせます。

◆ 捨てる戦略効果

石を捨てる効率とは、1眼作る負担が、相手に5目の地を与えることになります。これが2眼で活きようとすると10目の損失になるのです。このことから、2眼作って活きる手より2目にして捨てる方が有利となります。

◆ 分断する戦略効率

分断の効率とは、活きる効率の追加制約であるといえます。これは捨てる効率と全く逆で、分断して石攻めることによって、相手に活きなければならないという10目の損失を強いることになるので、石を取るよりかえって大きな利益になります。