対局意識の意味を理解するための基本知識(2)
1 序盤、中盤、終盤の勉強方法(考え方)
囲碁では、序盤、中盤、終盤と場面が展開しますが、プロにとっての序盤の研究は、囲碁研究の根幹をなすものになるのですが、アマにとっての布石や定石の勉強は、知識不足や例外から生じる失敗を回避するものとして捉える方が良さそうです。序盤で大きな失敗をすると、ゲームが終わることになるので、その知識としての勉強といえます。
2 布石、定石の研究意義
(1)プロにとっては必要条件
布石の失敗から生じる損失は、プロ同士の場合、1目から2目程度と非常に小さいのですが、プロの世界ではその失敗を挽回することが非常に困難となります。このため、プロにとって布石の研究は最重要な課題となり、より棋力が高くなればなるほどその重要さは増し、極端に言えば、碁の研究は布石定石の研究しかないといえる状態になります。このため当然、彼らは流行の布石については非常に敏感で、その研究に多くの時間を費やし、膨大な知識をもっています。
(2)アマプロにとっては十分条件
これに比べ、アマの布石や定石の勉強の必要性は、対局相手が定石すら知らないことが多く、単に覚えてもほとんどそのまま活用することができません。また、布石の説明記述には省略部分が非常に多く、その意味を、布石初級者として単純に理解するとしても、アマ棋力として3段から5段が必要になります。まして十分に理解できるようなアマはほとんどおらず、プロ級の能力か、着手理論の知識を熟知した者でないと、まったくその本質と違った独自解釈を行っていることが多くあります。このためこのような者から間違った指導を受けると、大きな弊害と上達できなくなる危険性があることになります。
3 プロ棋士の多くが布石理論を語らない理由
プロ棋士の多くが、布石について語ることを避けるのは、本人が布石理論というものを100%、(98%は知っているかもしれない)理解できていないからであるが、それ以上に、語らない理由がある。それは、どのような対局においても予期せぬミス(見損じ)によって負けることがあるからである。正しい手とは、安全確実な手を意味していない。むしろそれは時として打ち過ぎとなる手であり、微妙な石の強弱のバランスと絡み攻めの有無によって成立している手である。このためどれだけ用心しても予期せぬミスが生まれ、そのミスによって致命的な損失が生まれるのである。そして、その結果を多くのアマが、打たれた内容でなく負けた結果のみしか評価しないからである。
4 ヨセの学習
終盤におけるヨセの勉強においても、1目2目を争うことがほとんどないアマの対局では、簡単で常識的なヨセ知識で十分であるといえる。アマ5段以下の者が、対局しながら上達を楽しむことを重視するのであればという前提である。上達における勉強の楽しさ、効果のある学習テーマは、中盤での考え方であり、そのことで生まれる読みの能力育成である。中盤の能力が育つと、序盤や中盤での読みも比例して強くなる。結果、序盤の布石手順も自然と理解できるようになり、正しく記憶できるようになるのである。つまり目先の目標としては、中盤の戦闘力を三段以上にすること、これがもっとも合理的で効果的な学習目標となる。
5 対局意識
いかにすれば、中盤における能力を高めることができるかであるが、
囲碁の戦いの本質は、
- 中央の戦いである。
- 複数の戦いが同時に起こっている。
と思い込み、対局意識として
- 地を囲うという意識を捨てる
- 戦いがなければ、必然で効率のいい地は生まれない。
ことを絶対意識として肝に銘じ対局することである。