越田理論 その3           平成24919

着手効率とは何か。また先手が生まれる理由について考察します。

1 着手効率とは

着手効率は「形態による効率」「阻止による効率」「先手による効率」の3つの効率によって生まれています。


  1. 形態による効率(形、場所の効率差)

形態の効率差とは、ゲームルールから生まれている効率差のことで、確定地(死の領域確定)を作る効率として、その形や場所によって優劣差があるということです。


  1. 阻止による効率

阻止行為(邪魔する手)の方が、地の増加させる手より効率がよいという条件がある。ただしこの阻止による効率は「石が取られる危険性」によって制約を受けている。

また、先手が打てる権利は、「石が取られる危険性」(制約度)によって生まれている。


 3. 先手による効率

先手が打てる権利によって

A 自分から相手への阻止効率は上がる。

B 相手から自分への阻止効率は下がる

また、先手が連続して打てると、さらに形勢が有利になる。


2 先手や連続した手が生まれる理由
  1. 先手が生まれる理由

先手は「石が取られる危険性」の発生によって生まれます。石が取られる危険性の発生は

 法則 形勢を有利にするためには、自分の地の増加より、相手の地を制限を優先する必要があります。相手の地を制限しようとすればするほど、石が取られる危険性が増加することになります。

  1. 連続した先手を生む方法

先手は、絡み攻めによる生きの見合いの崩壊状況によっても生まれ、この場合には先手が連続して生まれることになります。

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1 先手と先行の手の違い

先手は相手が、必ず受ける必然性を前提にしています。先行は、「中断」「手抜き」によって、大場もしくは次の争点に打つ手のことをいいます。

 先行の手は、手抜きして次の争点への先着を優先して打たれた手であるため、手抜きした場所へ厳しい反撃を受けると、必ず損失が生まれます。


2 石を捨てる効率

石を取る手は、最大の効率の手であることが多いため、単純に石を捨てる手が選択されることはありません。石を捨てようとする場合は、

A 自分の生きる手数を短縮する。

 B  捨てても生きさえすれば十分勝てる。

C 様子見など、取られても相手の手を制限している。

という場合(条件付)の手になります。上記の3つ手は、石を取る手より効率のいい手であるといえます。

結論

着手効率の選択には、ゲームルールから導きだされる明らかな優先順序があります。
このゲーム理論による優先順序はどのような棋力の対戦であっても変わりません。
しかし、優先順序の選択実行には、満たすべき前提条件があり、その前提条件を手に入れるための手段にも着手効率があります。高段者の戦いやプロの戦いの中心は、この前提条件を手に入れる準備の戦いが中心になっており、その戦いにおいても、阻止する側の効率が勝るため、必然の手順を得る戦いが優先することになります。