失敗学とは
失敗学の定義をインターネットで調べると、 失敗学 (しっぱいがく) とは、起こってしまった失敗に対し、 責任追及のみに終始せず、(物理的・個人的な) 直接原因と (背景的・組織的な) 根幹原因 を究明する学問のことであり、
- 失敗に学び、
- 同じ愚を繰り返さないようにするにはどうすればいいかを考える。
- こうして得られた知識を社会に広め、ほかでも似たような失敗を起こさないように考える。
以下3点が失敗学の核となると記述されています。
- 原因究明 (CA: Cause Analysis)
- 失敗防止 (FP: Failure Prevention)
- 知識配布 (KD: Knowledge Distribution)
囲碁の上達では
トッププロの研究
囲碁にはプロ棋士がいるが、プロとなった棋士達はすべて、自分が負けた碁の敗着研究に最大の時間をかけて分析研究している。自分の敗着を発見できない、また発見しようしない人は、プロ棋士にはなれないし、その地位を維持することもできません。 つまり囲碁が上達するには、
- 自分のミスに気づく
- その原因をさぐる
- 解決の手順を研究する
この3つが必須となっています。 つまり敗着の研究こそが、上達手段の基本となっています。
アマの勉強と失敗
アマの勉強は、囲碁入門からはじまりますが、上達するにしたがってより多くの専門知識が必要になります。その学習項目としては「布石」「定石」「手筋」「死活」「ヨセ」などがあります。これらの知識の習得によって、実戦的なテクニックとその考え方を身につけるのですが、自分の打った実戦の手順を記録し(棋譜という)、それを高段者や指導者に見てもらって、その欠点や間違いを指摘修正してもらうことが、非常に重要な勉強方法になります。
囲碁での失敗
囲碁の学習における特徴として、棋力の低い人が、自分の棋譜からその失敗原因を見つけることは、ほとんど不可能であるといえます。失敗の原因究明が困難である理由としては、
- どこにでも打てるという着手の自由性
- 相手の打った石の意図がわからない。
- 目的達成するは、その前に準備がかかる。
- 碁盤の現状認識の判断が難しい
- 一手だけなら、いい手と悪い手の価値の差が小さい。
などがあります。そのため、自分の打った棋譜からの勉強では、棋譜を添削する指導者の先生が必要になります。
自分で失敗原因を見つける能力をいかにして身につけるか
囲碁において、短期間に上達できる方法は、「いつも良い先生がいて、自分の打った碁を手直ししてくれる」状況が最適なのですが、そのような最適な状況を誰もが得ることはできません。そのため、自分の失敗を自分で見つけるための勉強が必要となります。
その能力とは、どのような場合にどのような失敗するのかという多くの事例を知識として学び、実戦においてその失敗原因を意識することで、失敗かそうでないかの判断基準を身につけることが必要になります。失敗には、失敗する論理的な理由があり、その理由を知ることも、非常に重要なことです。
囲碁で強い人とは
囲碁が強い人は、多くの知識がある人ではなく、対局を多く経験した人でもありません。対局において、悪手や緩手を打たない人が強い人であると断言できます。それには、悪手、緩手がどのような手であり、どうしてそれが悪手、緩手と評価されるのか、またどのような場合に悪手や緩手を打ってしまうのかを知っていなければなりません。
有能な指導者とは
よい指導者の条件は、悪手を的確に指摘できることが最低条件になります。その場合の指摘方法は、相手の能力に応じてその指摘を選択できることが必要です。なぜなら、上達するに従って、直接的な原因と結果の関係は減少し、間接的で複合した因果関係が多くなるためです。
囲碁における失敗は、どのように分類されるか
打ち込む。攻め合い。死活。薄い。重い。固すぎる。取る。生きる。捨てる。 逃げる。攻める。守る。利かす。後手になる。切る。封鎖。分断する。ヨセ。 構想。形勢判断。先手後手。…など
少し具体的には、
- 地を囲おうとする
- 石を取ろうとする
- 弱い石を逃げようする。
- すぐに生きようとする。
- 相手の石を生きさせる。
- 相手の石を強くする。
- 守ってから攻める。
- 切る手が打てない。
- 生きられる石が、生きられない。
- 殺せる石が、殺せない。
- 攻め合いで負けているのに頑張る。
- はねるとダメなのに、はねる。
- 形勢がわるいのに、勝負手も打てない。
- 形勢が良いの、難解な手を打とうとする。
.などがあります。
失敗が減る、正しい理論とは
囲碁理論によって上達しようとする場合、自分が学ぼうとする理論そのものの真偽が問題になります。世間でいわれる囲碁理論の中には、理論でないものや、明らかに間違った理論と思えるものが数多く存在しています。入門者や初級者にとっては、まさか理論や格言に間違いがあるとは思っていないため、間違った理論を正しいと思い込むことは、もっとも上達を遅らせる原因になります。
正しい理論の特徴(条件)は
- すべての法則が、相互に矛盾がない。
- 体系化されている。
- 法則として、
- もっとも基本となるものが、明確に定義されている。
- 絶対的な制約条件になっているものが、定義されている。
- 変化要因が、十分考察されている。
- 階層構造となっており、他の階層との関連がある
このような基本的な条件だけでなく、
- 棋力の判断指標が明確である。
- 悪手の定義やミス原因の追究がより厳格である
などの特徴もあります。
失敗の効果的方法
失敗の原因はさまざまですが、
- 失敗を体験しなければ、次へのステップアップにいけない
- 失敗 失敗として、ほとんど意味のない体験の失敗
にわかれます。
効果的な失敗には、その失敗の必要性についての論理が必要です。 これについて囲碁の上達の中で考えてみます。
ゲームでの学習目的の間違い
囲碁は二人でするゲームであるため、相手との優位性を戦っています。そのため、戦いの目的と技術、そして戦いで生まれる失敗事項を知る必要があります。学習のおける間違いは、入門者の段階から始まっています。
入門での失敗 ゲームの目的の間違い
囲碁の勝敗判定は、地の大きさを競うため、大きく地を囲うと教える本が多くありますが、地を囲うとして打つと、いくら努力しても上達はできません。なぜなら勝敗判定は、戦いの結果ではあるのですが、戦いの目的ではありません。
原因
「勝敗判定の基準が、戦いの目的にならない。」このことを、囲碁を知らない人に気づかせるのは正しい知識が必要ですが、その知識を持っている指導者はほとんどいません。そのことを知っている人はすぐれた指導者となり、知らない指導者は悪い指導者になります。このため、入門初級者にとって先生選びの時点で、上達スピードに大きな差が生まれることになります。
失敗から得る知識と体験
囲碁の対局練習では、非常に多くの失敗を体験することになります。そして失敗から大きな利益をえることが、必要なのですが、「地を囲う」ことを目標とした場合、目標が間違っているため、
- 囲碁は難しい
- 理解できない。
- 自分には才能がない。
という結果になります。正しい目標が与えられていれば
- 工夫をしないと、上手くいかない。
- 目的の達成には、準備がいる。
- なるほど、こんな落とし穴があるのか
このように全く違った結果になります。つまり、前者は無条件に難しいことを我慢して受け入れなばばらない状況なるのですが、後者は、工夫や用心が必要であるので難しい。難しいけれど失敗原因を理解できるので楽しいということになります。さらに、前者は同じ失敗を繰り返す頻度が多くなり、後者は、失敗への準備工夫と攻めのタイミングを体験すことで、知識の蓄積を可能にしています。
正しく囲碁を理解するには、以下4つを理解することが必要です。
- 地を囲う動作と石を取る動作の関係を知る。
- 直接 地は囲えない。直接 石は取れない。(取られない)
- 石が取られると地が囲えない。
- 石を取る技術が高くても、石は取れないが、地が増える。
その結果、ゲームとしての
- 工夫の必要性
- 失敗の危険性
を始めて理解することができるようになります。つまり、失敗による損失と危険性を体験し、失敗の危険性を認識してこそ、失敗への用心と準備という大きな経験と知識が蓄積されることになります。 構想と戦いのための法則